かつてイングランド代表の将来を担うと期待されていたDFフィル・ジョーンズ。
だが、マンチェスター・ユナイテッドでは2020年1月以降、トップチームでの試合が出場がない。
半月板損傷という深刻な怪我に苦しんでいた彼が『The Times』のインタビューで本音を明かした。
執刀医から「半月板を切除したが、修復不可能だった」と宣告されたジョーンズは、関節内で骨がぶつかり合う状態に。直線的な動きは問題なかったものの、横からの衝撃には痛みが伴うようになった。
練習すると腫れるような状態だったが、コロナによる中断中に鬼のように取り組んだことで、2020年5月にはプロ生活で最高の状態に。だが、2日目の練習でストライドをした際に走ることも足を曲げることもできなくなってしまう。
フィル・ジョーンズ(マンチェスター・ユナイテッドDF)
「誰もが『あいつは何やってんだ』と言ってたよ。僕は完全に頭がおかしくなってしまった。
『自分は終わった』と思ったね。ドクターに『もういい加減にしてくれ。抗炎症剤も注射も何度もしたし、危機一髪なことも何度もあった。これを終わらせる必要がある』と告げた」
その後、バルセロナで世界的名医から最後の手段としてマイクロフラクチャー手術を受けたジョーンズ。だが、コロナ規則による渡航制限のために、専門医への再訪が遅れることに。
フィル・ジョーンズ(マンチェスター・ユナイテッドDF)
「足の自由が効かず、子供たちを公園に連れて行くこともできなかった。人生で最悪に落ち込んだ。
(練習場から)帰ってくると精神的にボロボロになることが多くなった。頭が完全に混乱していたし、泣くこともあった。
妻に『どうしたらいいのか分からない』と言って、2人で泣いたこともあった。
自分はひどい父親だと何度も感じたよ。子供にエネルギーをあげたくてもそれができない」
「僕らが生きているこの社会では、メンタルヘルスに影響を与える人種差別などに注意して欲しい。
選手にどんな影響を与えるのかを分かっていない。肉体的、精神的、感情的に。
『サッカー選手だから対処できるだろ、金持ちで贅沢な暮らしをしてるんだから』って常に言われる。
でも、それを全て取り除けば、僕らもただの人なんだ。
僕の問題は誰かがオフィスで抱えているよりも大きなものではない。それは分かっているよ。でも、問題なんだ。
サッカー選手も他の人と同じように問題を抱えているし、僕が話すことで他の選手の助けになるかもしれない」
自分は「役に立たない、価値がない」と罪悪感を感じていた彼はチームメイトたちと顔を合わせないために遅い時間帯にセッションを行うことを頼んでいたほどだったとか。
そんなジョーンズは元同僚であるリオ・ファーディナンドから「時間のムダ」、「ユース選手のポジションを奪っている」などと批判を浴びた。また、SNSでも批判や妻子への脅迫を受けたため、2017年に全てのアプリを削除したそう。
フィル・ジョーンズ(マンチェスター・ユナイテッドDF)
「(リオのことは)大いにリスペクトしている。ロッカールームで一緒だったリオは偉大なプロフェッショナルだ。
彼とプレーするのは最高だった。素晴らしいやつだし、いいユーモアもある。彼から多くを学んだよ。
でも、彼の発言はひどかった。本当にひどい。僕は論争には関わらない。例え、彼が知らなかったとしてもね…。
(リオが怪我のことを知らなかったというのには)驚いた。
僕はプライベートを明かさない人間だ。だから、人々は僕を理解していないかもしれない。
でも、僕は(報道とは)全く正反対の人間であり、最大限の努力をしてきた。誰からも『不十分だった』などと言われる筋合いはない。
『どこか他に行け』と言われるまで、僕はユナイテッドで戦うよ」
「選手たちは『(SNSを)俺は見ないから』と言いつつ、2分後には携帯を見てる。
自分はやらなくなってよかったと思っているよ。若いうちは(SNSを止めるのは)難しい。
でも、可能な限りいい意味でいえば、僕は最後に誰が笑うのか分かっている。
自分のキャリアを誇りに思っているし、引退したら人生を楽しむ。
とにかく、僕はこれができることはとても幸運だ、サッカー選手は幸運だからね。
(ネット民たちは)いまだに母親の予備の寝室にいて、ダイエットペプシを呑み、ポットヌードルを食べながら、ツイートでもしている」
29歳になったジョーンズとユナイテッドとの契約は2023年まである。
【動画】復活なるか!フィル・ジョーンズ、驚きの足ゴールシーン
幸いにも状態はかなりよくなっているそうで、復活の日も近いかもしれない。