高収入だが支出も多い「パワーカップル」が最低限決めたい家計のルール

© 株式会社マイナビ

低成長時代で先々不安と言いながらも、夫婦共働きが一般的になり夫婦の収入の合計が相当額に上る家庭も珍しくはないでしょう。いわゆるパワーカップルと言われる世帯です。しかし、いかに高収入でもリスクがゼロではありません。将来困らないように決めておく家計のルールとはどのようなものがあるでしょうか。

パワーカップルの定義

パワーカップルの決まった基準や定義はないようですが、次のようなイメージではないでしょうか。

  • 夫婦共に大企業などの正社員、あるいは国家資格等を有している専門職(医師・弁護士・税理士等)
  • 世帯収入が安定して1,000万円以上あり、今後も夫婦で働くカップル
  • 夫が高収入で妻はパートといった組み合わせでなく、夫婦それぞれ単独でも生計を維持し子供を育てられる収入がある

自分たちのリスク対応限度を把握しよう

パワーカップルは収入も多い分、支出も多いと言われています。高収入なだけに、それぞれが忙しく次のような支出が増えがちです。

  • 通勤時間の短い都心に住み、家賃や住まいの取得費が高額
  • 忙しいので、外食等が多くなる。弁当持参で、3食自炊と比較すると相当な差がある。
  • 家事の外注費や家電購入費がかさむ
  • 立場にふさわしい身だしなみが必要。近所でのパート勤務と比較すると、衣服・化粧品代がかかる
  • スキルアップのための自己研鑽費が必要
  • 子供の保育費がかかる

しかし、問題は、それ以上に生活水準が高くなり、よく吟味せずにいろいろなものを買ってしまったり、消費してしまったりしがちになります。昔から「一人口は食えぬが、二人口は食える」と言われてきました。独身時代、収入は全部自分一人のために使えるので、生活が無計画になり、なかなか貯金もできなく生活費が不足する事態もあるのに対して、結婚して収入は同じにもかかわらず、しかも二人分を養わなければならなくなったのに、なぜか貯金もできるようになり生活が安定するようなことを言い表しています。

まさにパワーカップルも一人一人が自立しているので、それぞれが「一人口」意識になりがちです。今は夫婦別会計のカップルも少なくないでしょう。パワーカップルであればその比率は高いと思われます。

高収入でもリスクが全くないわけではありません。高収入を維持できなくなる事例を考えてみて、あらかじめその対応策と自分たちでリカバーできる限度を把握しておきましょう。

以前、結婚したばかりの女性医師の相談を受けたことがあります。医師であればリスクに強そうに思われますが、子供が生まれ数年ブランクを経て復帰しようとしても、技術は日進月歩で復帰はかなり難しいそうです。キャリアダウンも考えられていました。

考えてみれば、私が持っている建築士やFPの資格も毎年法律や制度が変わる、新しい商品や材料・工法が登場することを考えると、常に第一線でアンテナを張っていないと仕事になりません。ブランクを埋めるには相当な努力が必要です。

余力を3分割して考えよう

平均的な家庭との収入の差と平均的家庭の毎年の貯蓄額の合計を正確に算出してみましょう。その余力金額を3つに分けて考えましょう。3つの項目それぞれの割合は、各家庭によって違うものになるでしょう。また社会環境の変化、病気やケガで収入が減るなどのリスクに、どれだけ自分たちの家計に対応力があるかによっても変わるでしょう。3分割すると意外にそれぞれの余力額はそう多くないイメージになりませんか?

1. 子供の教育費、住宅購入のための頭金等、絶対に必要な費用として貯蓄する+万一の対策、老後の生活費などのためにプールする
2. スキルアップ、より良い生活のための自分投資
3. 今を快適にし、楽しむためへの消費

切り替えの早さを失わない感性が大切

高収入であれば生活が広がりがちになることは、わかりやすいと思いますが、なにか不測の事態に遭遇したときの切り替えが遅くなりがちなことが意外な盲点だと思います。

高収入の世帯は、それだけプライドも高いことが少なくないでしょう。日々節約に努める努力がさほど必要でない贅沢な生活では、その分不測の時代に陥ったとき対応のスピードが遅れがちなのです。以前目にした、ある一流会社の部長の記事がとても印象に残ったので、前にも紹介しましたが再度掲載します。

事例……夫は一流会社の部長で、まずまずの高収入、妻は専業主婦、2人の子供は私立の小学校+いろいろな習い事、贅沢な住まい+高額な住宅ローンの家庭でした。しかしリーマンショックの影響でボーナスが少なくなり、住宅ローンの返済が難しくなりました。しかし生活を絞る、妻が働く、子供は公立に、習い事は一時中断する等のいずれかを素早く対処したならば、返済継続はさほど難しくなかったケースです。しかし、プライドが妨げになり、それらの対策に着手するのが遅れ、結局は転職、住まいの売却、公立への転校等、多くを失う結果となりました。

便利な生活は、ある部分人をスポイルするようです。最近のソロキャンプや車中泊の人気は、潜在的な反発ではないかと思います。


最近コロナ禍を経験して、ベースとなる暮らしのイメージを常に持っていることが大切だと思い始めました。パワーカップルに限らず、現在の生活は贅沢になっています。あまりに便利で、社会の変化に対応する力や想像力が低下しているように思います。社会のちょっとした変化に過度なストレスを感じ、またどう対処すればよいかの創造力が働きにくくなっているのを感じます。

私自身のベースとなる暮らしは子供のころの電化製品と言えば、室内の照明とラジオと電気スタンド(使っていなかったけど)だけだった生活です。お掃除ロボットが室内を動いていても、いつでもさほどストレスもなく昔の生活に戻れる自信があります。

佐藤章子

さとうあきこ

この著者の記事一覧はこちら

この記事はいかがでしたか?