中小河川も「流域治水」 豪雨災害激化で神奈川県、4水系の計画公表へ 県西部は、横浜は

酒匂川水系の洪水調節機能を担う三保ダム=山北町

 気候変動を背景とした豪雨災害の激化を受け、多様な対策を組み合わせて被害の軽減を目指す「流域治水プロジェクト」が、神奈川県内の2級河川でも本格的に動きだす。県は近く、酒匂川、境川、帷子川、大岡川の4水系で地元市町と検討してきたプロジェクトを公表。共通の課題である雨水貯留スペースの確保は用地などの制約が大きいことから、県西部を流れる酒匂川では農地の活用を探る。横浜駅周辺を中心に都市化の進んだ帷子川は下水道関連の整備を急ぐ方針だ。

 国の主導で昨年から検討されている流域治水プロジェクトは、全国109の1級水系が先行。県内では、多摩川、鶴見川、相模川のプロジェクトが今年3月に公表され、堤防整備や河道掘削、休耕田の活用、避難対策の見直しなどが盛り込まれている。

 県が管理する中小河川の2級水系では、大和市などを流れる引地川のプロジェクトが3月に策定済み。本年度中にさらに10水系のプロジェクトを取りまとめる方針で、今回の4水系がその皮切りとなる。県河川課は「従来の河川改修の取り組みでは、気候変動による降雨量の増大や変化のスピードに対応できない」と危機感を示し、プロジェクトの立案と実施を急ぐ構えだ。

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