レッドブルのリアム・ローソン、連続表彰台でランク首位に。優勝はウィットマンとアウアー/DTMアッセン

 9月17〜19日、DTMドイツツーリングカー選手権の第6戦がオランダのTTサーキット・アッセンで開催され、土曜日のレース1ではマルコ・ウィットマン(ワーケンホルスト・モータースポーツ/BMW M6 GT3)、日曜日のレース2ではルーカス・アウアー(メルセデスAMG・チーム・ウィンワード/メルセデスAMG GT3)が優勝を飾った。

 ポイントランキングでは、アッセンで連続表彰台を獲得したリアム・ローソン(レッドブルAFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)が、これまで首位だったケルビン・ファン・デル・リンデ(アプト・スポーツライン/アウディR8 LMS)を逆転し、トップに立っている。

 今大会ではゲストドライバーとして、ランボルギーニのファクトリードライバーでもあるミルコ・ボルトロッティがT3モータースポーツの63号車ウラカンGT3 Evoでエントリーした。

 土曜日のレース1予選ではローソンがポールポジションを獲得。僅差でウィットマンが続き、ゲストながらボルトロッティが3番手に食い込んだ。以下、マキシミリアン・ゲーツ(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)、フィリップ・エリス(メルセデスAMG・チーム・ウィンワード/メルセデスAMG GT3)、クリスチャン・クリエン(JPモータースポーツ/マクラーレン720S GT3)と続くトップ6となった。

 決勝は通常どおり55分+1周。スタート時、いわゆる“インディ・スタイル”の隊列内で接触が起こったことで複数台のマシンがダメージを負い、いきなりセーフティカー(SC)が導入される展開となる。

レース1 スタートシーン

 リスタートではローソンがトップ、そしてSC導入前にポジションアップしていたボルトロッティが2番手を守る。その後はトップ2台のバトルに発展するなか、ボルトロッティが易々とローソンをパスして首位に浮上した。

 ローソンは8周目にピットへ飛び込みアンダーカットを狙う。ボルトロッティのピットは翌周。この2台のポジションは変わらなかったが、ローソンよりも1ラップ前にピットインを済ませていたゲーツが実質のトップに浮上していた。

 その後、デブリのために再びSCが導入され、この時点でピットを済ませていなかった暫定トップのケルビンら3台は、勝負権を失ってしまう。

 このSCからのリスタート直後、集団のなかでボルトロッティはローソン、そしてウィットマンに先行を許し実質の4番手へと後退。ウィットマンは接触しながらローソンをパスして2番手に浮上する。

 勢いづくウィットマンは、ピットインを遅らせていた車両に行く手阻まれるゲーツの隙をついてトップへ立った。ローソン、ボルトロッティもゲーツをパスし、ウィットマンを追う展開となる。

 残り2周、ボルトロッティがローソンをオーバーテイクして2番手争いは決着。優勝は、接触による5秒のタイムペナルティを受けながらも終盤独走したウィットマンで、ゾルダーのレース2に続く今季2勝目を挙げた。

 2位にファステストラップ獲得のボルトロッティ、3位ローソン。4位以下はゲーツ、クリエン、シェルドン・ファン・デル・リンデ(ローヴェ・レーシング/BMW M6 GT3)というトップ6でレース1を終えた。このレース1終了時点でローソンがランキング1位、ウィットマンが2位へと浮上している。

ゲスト参戦し好走したミルコ・ボルトロッティ
リアム・ローソンのフェラーリ488 GT3 Evo
トップチェッカーを受けるマルコ・ウィットマン

■ウィットマンが驚異の粘りを見せポジションを死守

 日曜日午前のレース2予選では、アウアーが最速タイムをマーク。以下、ウィットマン、ローソン、アレックス・アルボン(アルファタウリ・AFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)、ケルビン、ボルトロッティと続くトップ6のスターティングオーダーとなった。

 アウアーがホールショットを決める一方、背後ではウィットマン、ローソン、アルボンによる2番手争いが激化。混戦のなか、アルボンがローソンをパスし3番手へと浮上する。ケルビンは8番手へとポジションを落とした。

アレックス・アルボンのフェラーリ488 GT3 Evo

 レース序盤はトップのアウアーが逃げ、ペースの上がらないウィットマンに以下のマシンが連なる展開に。アウアーとローソンはピットウインドウが開くとともにピットに飛び込む。

 次の周にはウィットマンとアルボンもピットへ向かった。ここでウィットマンがピットアウトしたところに、アウトラップを終えたローソンが襲いかかる形となり、ローソンが実質の2番手へ。2台をアンダーカットすることに成功した。

 ウィットマン、アルボン、ゲーツの3台が接近戦を繰り広げる中、その前方でダニエル・ジュンカデラ(メルセデスAMG・チーム・グループエム・レーシング/メルセデスAMG GT3)がピットアウト。実質3番手へとジャンプアップを果たす。

 この後もウィットマンに対し再三アタックするアルボン。その背後にはゲーツ、ボルトロッティまで4台が連なる形となる。一方、ピットインを引っ張って暫定トップを走るケルビンは、ピットを済ませた上位勢と同様のラップタイムでレースをリード。ピットから戻る位置次第では上位争いにも絡むことが予想された。

 残り23分でケルビンはピットへ。すると、長時間ポジション争いを繰り広げてきたウィットマンとアルボンの間に割って入る形、実質4番手でコースに復帰した。タイヤがフレッシュなケルビンは、接触的にアタックを仕掛けるが、ウィットマンを抜くには至らない。逆に後方からはアルボンが接近し、ケルビンのリヤと接触する場面も見られた。

グリッド上位勢とは異なる戦略でポジションアップを図ったケルビン・ファン・デル・リンデ

 一方、トップ争いは終盤、アウアーへの差をローソンがじりじりと詰めていく展開に。残り約5分で2台の差は1秒を切る。力走したローソンだったが逆転には至らず、アウアーがポール・トゥ・ウインを達成。コンマ5秒差でローソンがチェッカーを受けた。

 その背後では、実質3番手だったジュンカデラが残り2分のところでスローダウンからリタイア。終始激しい防戦を展開したウィットマンがポジションを守り切って表彰台に立ち、以下ケルビン、アルボン、ゲーツというトップ6となった。

「終盤、ルーカスに近づこうとトライしたが、単純に彼は速すぎた」とローソン。

「とはいえ、今週の結果についてはとてもハッピーだ。チャンピオンシップリーダーでいられることは、素晴らしい」

 ランキングでは2戦連続表彰台のローソンが175ポイントでトップ。ウィットマンが165ポイント、ケルビンが160ポイント、ゲーツが155ポイントで続き、タイトル争いはこの4人に絞られてきた。

 今季のDTMは残り2戦・4レース。次戦は10月1〜3日、ホッケンハイムで開催され、その翌週には最終戦ノリスリンクが待ち構えている。

レース終盤、表彰台圏内ながらリタイアを喫したダニエル・ジュンカデラ
レース2で今季初優勝を遂げたルーカス・アウアー

© 株式会社三栄