山形そば、南極観測隊に提供へ 「続おそばに」乾麺160人前寄贈

© 株式会社河北新報社

加々島さん(左)に南極観測隊に寄贈する乾麺を手渡す熊谷さん(熊谷さん提供)

 山形市のそば店が手掛ける乾麺が、11月に日本を出発する第63次南極観測隊に提供する食材に選ばれた。常連客である研究者が隊員に選ばれた縁などから、店主が山形県産そば粉をふんだんに使った160人前を寄贈した。そばどころの自慢の味が遠く海を渡り、極地の食卓を彩る。

■「常連客」研究者の隊員起用が縁

 乾麺は、JR山形駅前のそば店「続おそばに」が昨年から販売。県内で広く栽培される「最上早生(わせ)」と、大石田町で代々守り伝えられる「来迎寺(らいこうじ)在来」をそれぞれ材料にした2種類がある。そば粉を全体の5割配合し、香りの高さが特長だ。原料を調達し配合などを示して同市の酒井製麺所に製造を委託。観測隊に40袋ずつ寄贈しており、隊員74人のうち南極で1年半近く過ごす越冬隊約40人らに提供される。
 店の代表を務める熊谷晃一さん(51)は「山形そばのおいしさを広めたい思いがあったので光栄だ。日本から遠く離れて激務をこなす中、そばの香りで日本を思い出してもらえたらうれしい」と喜ぶ。
 熊谷さんは2015年に病気で死去した友人の店舗を受け継ぎ、店を開いた。越冬しない夏隊への派遣が決まった常連客で山形大理学部准教授の加々島慎一さん(48)が、研究者仲間に乾麺を紹介。味が評判となり、国立極地研究所(東京)から提供の依頼を受けた。熊谷さんは「加々島さんら観測隊を応援したい」と代金を受け取らなかった。
 他の飲食店と同様に、熊谷さんの店も新型コロナウイルス感染拡大の影響に苦しむ。特に夜の客足が急減し、売り上げは以前の半分ほどという。
 熊谷さんは「コロナで暗い話題しかない中だけに、うれしい。来年以降の観測隊にも取り入れてもらい、『南極でそばと言えば山形そば』という流れができれば」と期待する。
 南極の正月は夏。テント生活をしながら大陸の岩石を研究する加々島さんは「年越しそばで味わうつもり。他の隊員に山形のおいしいそばを楽しんでもらいたい」と心待ちにする。
 乾麺は2種類とも1袋2人前で各900円。店頭や高島屋、三越のオンラインショップで販売し、詳細は店の公式ホームページに記載している。

[南極観測隊]南極の昭和基地を拠点に研究者らが共同生活を送りながら天体や動物、岩石、氷などの調査を行う。例年11月に日本を出発、翌年3月に先に帰国する「夏隊」、さらに1年後の3月まで滞在する「越冬隊」で構成される。在任中に次の観測隊が到着して滞在人数が増える時期があり、越冬隊は南極で2月に隊員の引き継ぎを行う。

南極観測隊に寄贈した「続おそばに」の乾麺