現役引退 阪神・桑原の〝遅咲き野球人生〟が虎編成に遺してくれたものは…

阪神・桑原(東スポWeb)

今季限りでの現役引退を表明した阪神・桑原謙太朗投手(35)が20日、兵庫・西宮市内の球団事務所で会見に臨んだ。

「真っスラ」と表現された強烈な変化量のスライダーを武器に2017年には最優秀中継ぎ(43HP)にも輝いた右腕は会見冒頭で「このたび2021年で現役生活を終わることになりました。横浜で入団して(オリックスを経て)阪神さんにトレード拾ってもらって、活躍できたことが何より良かったかなと思います」と挨拶。プロ14年目の今季は肩肘の痛みに悩まされ「投げられなくなって、またどうやったら投げられるか考えていた」そうだが、区切りとしてユニホームを脱ぐことを決断。「不器用ながらなんとかプロ野球にしがみついてきた。阪神のブルペンには岩貞や岩崎がいるので心配はしていない。これからもチームを盛り上げていってもらえたら」と穏やかな表情で後輩たちへエールを送った。

07年に横浜(現DeNA)に入団後、オリックスを経てトレードで14年オフに阪神に入団。そこまで目立った成績を残せていなかった右腕は、金本前監督の抜擢もあり17年に突如大ブレーク。阪神中継ぎ陣の大黒柱として67試合に登板し防御率1・51をマークすると自身初となる最優秀中継ぎのタイトルも手中に。〝外様の遅咲き男〟の大活躍は、その後の阪神の戦力編成にも大きな影響を与えた。

編成部門のトップを経て今季から現職に就く同球団の嶌村聡球団本部長は「最後の3球団目である阪神で花開いてくれた。今後、他にもそういう選手が出てくるかもしれない。我々としても『ああ(他球団にも)こういう選手が絶対におるんやな』という意識にさせてくれたのは事実です」とコメント。桑原の大活躍が、その後の積極的なトレード補強策を推し進める上での良きモチベーションになったと説明した上で「本当にいい選手でした。17年、18年の活躍。あのスライダーは今でも焼き付いている」と背番号64の生き様に賛辞を贈った。

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