アニメ史上最強!シティーハンターのエンディングは TM「Get Wild」で決まり!  リマインダーが選ぶ80年代アニメソングランキング 第4位

今なお多くの人に愛される「シティーハンター」を彩った名曲たち

1987年に放送されると、瞬く間にその人気に火がついたアニメ『シティーハンター』。もともとは漫画家・北条司氏の同名の作品が原作であり、テレビアニメ版だけでも4シリーズ、加えてスペシャル番組、映画作品が作られた名作アニメだ。最近では2019年に映画『劇場版シティーハンター(新宿プライベート・アイズ)』が上映され、今なお多くの人に愛されている。この作品の魅力として主題歌と挿入歌、エンディングテーマの力が大きく作用している。作用というよりも、作品と曲のシンクロ度が高く、曲たちが作品の世界感を、より素晴らしいものにしているといえるだろう。

小比類巻かほるの「City Hunter~愛よ消えないで~」、PSY・Sの「Angel Night~天使のいる場所~」、FENCE OF DEFENSEの「SARA」など、数々の名曲たちが揃っているが、その中でも代表曲といえば、やはりTM NETWORKの「Get Wild」だろう。

斬新なエンディングシーン、実は“聖母たちのララバイ方式”

当時、TM NETWORKとしては初のタイアップ企画だったが、小室哲哉は「エンディングテーマか… オープニングじゃないんだなと思った(笑)」と後のインタビューで答えている。

しかし実はこの時、アニメの制作サイドはテレビアニメとして新しい試みを考えていた。通常のアニメ作品では、本編が完全に終了した後に流れるのがエンディングテーマだったが、『シティーハンター』はその概念を覆す。

ラストシーンに、エンディングテーマ曲のイントロがフェードインして、そのまま曲に突入するという流れに挑戦したのだ。

プロデューサーだった諏訪道彦氏は、同じ日本テレビで放送されていた『火曜サスペンス劇場』からこの案を思いついたという。ドラマの物語が終わろうとする中、岩崎宏美の「聖母たちのララバイ」が流れ、エンドロールへと繋がっていく、いわゆる “聖母たちのララバイ方式”をアニメに取り入れたのが『シティーハンター』のエンディングだったという。

また、最後に主人公・冴羽獠がキザでカッコイイ言葉で物語りを締めくくると、“止め絵” となり、そこから “引きの絵” となる。ネットでは “止めて引く” とよく口にされるこの手法が、とにかく斬新でかっこ良かった。そこへ「Get Wild」のイントロが流れ始めると、なんとも言えないスタイリッシュな雰囲気に、テレビの前で幾度、悶絶したか分からない。

時代を超えていく名曲、色褪せない秘密とは…

小室哲哉のもとにこの曲の依頼がきたときは、かなり綿密な打ち合わせが重ねられ、「疾走感」をキーワードに、細かいオーダーを受けたという。その一つに「オープニングは、ピカーンとする光りみたいなものから入ってほしい」というものがあり、そこからあの名イントロが生まれた。

また、この曲の特徴のひとつとして、ドラムのスネアが入っていないことがよく話題に上る。浅倉大介氏は以前、インタビューで「(個人的な見解ですが、)スネアの音色にはその時代時代の音がある。だからこの音を抜いた事が、「ゲワイ」が時代を感じさせず、時代を超えて愛される曲になった秘密だと思う」と語っている。

『シティーハンター2』の50話「さらばハードボイルド・シティー(後編)」では、挿入歌としても使われた。この回は、催眠状態の槇村香が冴羽獠に銃を向けるシーンで有名で、ファンの間では神回として愛されている。催眠状態の香に銃で撃たれながらも、香を抱きしめる獠。すると胸の中の香がまたも獠に銃を突きつける。「お前の記憶が戻らないなら… 生きていても仕方ない」とつぶやく獠… そして……。

二人の愛情が最高に高まるシーンで流れてきたのも、やはり「Get Wild」。イントロが流れると、香を抱きしめながら、起爆スイッチを破壊するために獠が銃を放つ。「Get Wild」の曲に乗って、赤と白のコードに向かって銃弾が空(くう)を切り…。何度観ても鳥肌が立つ名場面だ。

もはやゲワイは楽曲の範疇を超えたカルチャー

2017年には、全曲「Get Wild」だけのアルバム『GET WILD SONG MAFIA』もリリースされて、度肝を抜かれた。4枚組で、すべてがゲワイというすごい企画。「どんな風に手を入れても崩れない曲」という小室の言葉があるように、この曲はライブごとにさまざまなバージョンが生み出され演奏されてきた。TM NETWORKのファン、通称FANKSたちはイントロだけで、どのバージョンなのか聞き分けることができるのだから、これまたすごい!!

最近では「Get Wild退勤」という言葉が生まれたり、Twitterのトレンドにもよく「Get Wild」という言葉が登場したりする。80年代の楽曲で、こうした曲はほかに聞いたことがない。もはや楽曲という範疇を超えて、時にはカルチャーとなり、たくさんの人に愛され続ける「Get Wild」。この楽曲の素晴らしさはこれからも色褪せることなく、私たちの中で生き続けるだろう。そして今なお進化を遂げている名曲中の名曲だ。

カタリベ: 村上あやの

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