河野太郎は実は「コロナのことよくわかってない」説! 今頃「パルスオキシメーターの視察」ツイート、会見では「PCRの抗原検査」発言

河野太郎Twitterより

自民党総裁選で大きな鍵を握る党員・党友に対する調査で、共同通信で48.6%、読売新聞で41%と、いずれも投票先としてトップに立った河野太郎・行革担当相。河野氏は一般有権者に対する世論調査でも軒並みトップとなっているが、一方、ANNの世論調査によると、新しい総裁に期待する政策でもっとも多かったのは「新型コロナ対策」(44%)だという。つまり、河野氏には新型コロナ対策への期待が高い、ということだ。

改革を訴える河野氏なら、きっと新型コロナでもリーダーシップを発揮してくれるはず──。巷間では河野氏に対してそんな期待が膨らんでいるのだろうが、はっきり言ってそれは幻想だ。

というのも、河野氏は総裁選告示の前日だった16日、総裁選用に新たに設けたTwitterアカウントで、こんな度肝を抜く投稿をおこなっていたからだ。

〈血中の酸素濃度を測る、パルスオキシメーターの視察。コロナの重症化をいち早く察知するためには、呼吸機能の低下により血中の酸素が減っていないか、このメーターを使って確認していきます。〉

そもそも「パルスオキシメーターの視察」というのも意味不明なのだが、「全世帯にパルスオキシメーターを配布する」とか「増産体制に入る」とか、そういった報告はまったくなし。「重症化をいち早く察知するためにメーターを使って確認する」という、いまどき小学生でも知っている話を投稿して終わったのだ。

言っておくが、東京都の江戸川区は昨年の4月から自宅療養を余儀なくされている患者にパルスオキシメーターを貸与しはじめていたし、先月には感染爆発によって需要が高まり、供給が追いつかないことがテレビや新聞で伝えられていた。

ところが、河野氏はいまになって「重症化をいち早く察知するためにメーターを使って確認する」などという誰でも知っている話をドヤ感満載で投稿し、「視察した」と自己PRしたのだ。

当然ながら、このツイートに困惑の声とツッコミが殺到したのは言うまでもない。

〈は? ? ?今頃パルスオキシメーターの紹介?そんなの1年半前から国民はみんな知ってるよ?〉
〈今頃何をしているんだ〉
〈昨年の第一波の時点でTwitterでどれだけの人が命を脅かされながら入院もできず助けを求めて、パルスオキシメーターの情報を共有して、下がった血中酸素飽和度の写真を上げて悲痛な訴えをしていたのか、この人は自分が見たくないツイートはブロックしてしまうので目に入らないんだな。改めて呆れた。〉
〈これが去年の春のツイートなら、頑張って政策に活かして下さい。と応援も出来たが…今?〉
〈思わず日付確認しちゃいましたよ。総裁選立候補者の前に、コロナ対策に責任持ってる政府の現役閣僚ですよね?〉

●「PCRの抗原検査を薬局で」発言!小学生でも知っているPCRと抗原検査の違いを知らないのか?

ようするに、「新型コロナ対策」に多大な期待が寄せられている総裁ナンバー1候補だというのに、ここにきて「ワクチン担当大臣のくせに、新型コロナの基本的なこともよくわかっていないんじゃないか」という疑惑が濃厚になっているのだ。

じつは、「河野太郎、コロナわかってない説」には、もうひとつ、証拠となる発言がある。それは14日におこなった出馬表明会見でのこと。河野氏は総裁選において、コロナ対策として「短時間でわかる簡易検査キットの低コストでの大量供給」することを強く主張しているが、この日の会見ではこんなことを口にしたのだ。

「いま、PCRの抗原検査、一般の人が薬局で買いたい(と思っても)、残念ながらルールでそれはできない、ということになっています。いまそれを規制改革推進会議で、このコロナ禍なんだから、そういうこともできるようにきちんとルールを変えていこうよ、そういう議論をしています」

PCRの抗原検査……!? これもいまどき小学生でも知っていそうな話だが、PCR検査と抗原検査はまったく違うもの。ざっくり言うと、PCR検査はウイルスの遺伝子を薬剤によって増幅させて検出する検査で、抗原検査はウイルスのタンパク質(抗原)を検出する検査。よって、「PCRの抗原検査」などというものはこの世に存在しないはずだ。

しかも、いま政府が一般薬局での販売を認めようと進めているのは「抗原検査簡易キット」だが、こちらもすでに一般常識になっているように、抗原検査簡易キットはウイルス量が不十分だと感染を正しく判定できないなどの問題点も多く、PCR検査との精度の差などは国会でも議論になってきた。

つまり、そうした議論を知っていれば、専門家でなくても普通に「PCRの抗原検査」などというありえない言葉は出てこないはずなのだが、それが現役閣僚かつ次期総裁・首相を狙う人物から飛び出したのである。

河野氏に次々と浮上する「パルスオキシメーターの重要度を知らなかった説」に、「PCR検査と簡易キットによる抗原検査の違いを理解していない説」……。いや、たとえ本当はパルスオキシメーターについて前からよく知っていたり、PCRとたまたま言ってしまっただけだとしても、河野氏にコロナ対策を期待することはまったくできない。

それは、今回の総裁選で打ち出しているコロナ対策を見てもはっきりとしている。

●河野が打ち出したコロナ対策は「行政の権限強化」「デジタル技術でコロナに当たる」と

実際、河野氏が打ち出している目玉のコロナ対策のひとつは、この抗原検査簡易キットの普及で、「どんどん検査をすることで、見える景色が大きく変わってくる」と主張しているが、あくまでこれは簡易検査であり、一方では無料で誰でもすぐにPCR検査が受けられる仕組みがなければならないことは当たり前だ。だが、河野氏からそうした言及はない。

しかも、肝心の病床確保の問題についても「非常時の指揮命令系統、権限は見直さないといけない」などと権限の強化を主張。さらに、デジタル戦略ではハンコ廃止くらいしか手柄がないくせに「自宅療養の方の健康管理モニターなどデジタル技術を使ってコロナにあたらなければいけない」などと発言。自分が閣僚を務める菅政権はいまだに自宅死亡者の人数さえ把握できていないというのに、である。

挙げ句、河野氏は口を開けば「ワクチン接種はかなり良い調子で進み、11月前半にはほぼ希望者に打ち終えるのではないか」だの「3回目の追加接種も必要な量は確保しており、来年は生後6カ月の赤ちゃんから打てるワクチンが出てくる予定」だのとワクチンの話ばかり。ついには「河野太郎でなかったら、ワクチンはここまで来なかった」などと自画自賛しはじめる始末だ。

ワクチン接種の開始が遅れたことと7月からの国のワクチン供給不足によって接種がペースダウンしたことにより第5波では現役世代の重症化や死亡を招いてしまった責任は棚に上げ、自治体の努力の賜物でしかない現在の接種状況を自分の手柄にする。そして主張するのは権限の強化……。無知な上に横暴というこの厚顔無恥ぶりは、もはや菅義偉首相以上ではないか。

だが、告示前からの大量のメディア出演や厚かましいにも程がある自画自賛の「やってる感」の演出により、大阪府の吉村洋文知事よろしく、すっかり世間は騙され、こんな男のコロナ対策に期待を寄せているのである。

総裁選で誰が選ばれようが「地獄の自民党政治」はつづくだけだが、とりわけ、河野氏がコロナ対策の陣頭指揮をとるなんてことになれば、期待はおろか不安しかないだろう。
(水井多賀子)

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