19点も防いでいる西武源田…パの「GG賞」は順当? データで予想する“最有力候補”

西武・源田壮亮【写真:荒川祐史】

守備の総合指標「UZR」でみるゴールデングラブ賞の行方は?

両リーグともに、優勝争いは最終盤までもつれている。クライマックス・シリーズ進出の行方とともに、ペナントレースに注目が集まるシーズン終盤。一方で、個人成績による栄冠がどうなるかも、ファンにとっては気なるところだ。守備の名手に贈られる「ゴールデングラブ賞」もそのひとつ。プロ野球担当記者による投票で選出されるが、現時点での“有力候補”たちをデータ面から見てみたい。今回はパ・リーグ編。

用いたのは、守備全般での貢献を示す「UZR(Ultimate Zone Rating)」。リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだかを表す。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照した(数値は19日時点)。

○投手
オリックスの山本由伸と宮城大弥がともに「1.3」で並んでいる。1000イニング換算した数値では、山本が「8.7」に対し、宮城が「10.2」と上回る。山本は勝利数と防御率、奪三振の“投手3冠”に向け爆進中で、ゴールデングラブ賞のタイトルも視野に入っている。

○捕手
昨季まで4年連続で受賞しているソフトバンクの甲斐拓也が「4.6」でトップ。チームはリーグ連覇が難しい状況だが、今季も“甲斐キャノン”は扇の要で頼もしい姿を見せている。2位は楽天の太田光で「2.8」、3位は西武の森友哉で「0.2」となっている。

○一塁手
ソフトバンクの中村晃が「7.2」で他の一塁手を上回っている。昨季は日本ハムの中田翔(現巨人)とともに初受賞。2年連続の栄冠に輝く可能性は大いにある。2位は日本ハムの高濱祐仁で「3.1」、3位は楽天の鈴木大地で「0.9」となっている。

オリックス・宗佑磨【写真:荒川祐史】

遊撃は議論の余地なし? 西武・源田は全ポジションで最高数値

○二塁手
ロッテの中村奨吾が「5.9」で抜け出している。2位には楽天の浅村栄斗が続くが「-2.4」とマイナス評価に。昨季に初受賞した西武の外崎修汰は4月に左腓骨骨折で長期離脱。7月に1軍復帰を果たしたものの、規定に達していない。

○三塁手
登録は外野手だが、今季は主に三塁で出場しているオリックスの宗佑磨が「10.7」でトップ。楽天の茂木栄五郎が「9.9」で続く“2強”となっている。昨季初受賞した楽天の鈴木大地は今季、主に一塁で出場している。抜群の身体能力を見せる宗が初の栄冠に輝く可能性もある。

○遊撃手
議論の余地はないかもしれない。3年連続で受賞している西武の源田壮亮が「19.7」で圧倒的は数値を叩き出している。両リーグの全ポジションを通じて最高で、コロナ禍で離脱があった今季も名手ぶりは健在だ。2位はロッテの藤岡裕大で「9.0」、3位はソフトバンクの今宮健太で「7.8」とハイレベルだ。

○外野手
ポジション別でみると、左翼はロッテの35歳ベテラン・荻野貴司が「5.8」でトップ。中堅は「6.3」で楽天の辰己涼介、右翼は「9.2」で楽天の岡島豪郎となっている。昨季に外野手部門で受賞したソフトバンクの柳田悠岐、日本ハムの大田泰示、西川遥輝の3人からガラリと顔ぶれが変わる可能性もある。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

© 株式会社Creative2