松井玲奈 顔にアザある女性役で主演 遅い初恋と成長する内面を描く「よだかの片想い」公開決定

松井玲奈主演の映画「よだかの片想い」が、2022年に劇場公開されることが決まった。

「よだかの片想い」は、直木賞受賞作家の島本理生による同名恋愛小説を映画化した作品。遅い初恋を通して成長する女性の内面を瑞々しく描く。顔の左側にアザがあることから恋をあきらめていた理系女子大生の前田アイコは、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となる。本が映画化されることで知り合った、監督の飛坂逢太に惹かれるアイコ。不器用に距離を縮めていくアイコだったが、相手は仕事が第一で女性にも不自由しないタイプだった。アイコは、飛坂への想いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる。

主演を務めるのは、「ゾッキ」などに出演し、11月には主演映画「幕が下りたら会いましょう」が控える松井玲奈。小説家としても活躍する読書好きの松井は、かねてから島本理生作品の大ファンを公言。松井が初めて接した島本作品だった「よだかの片想い」の実写化の際には、是が非でもアイコ役をやりたいと熱望していたという。アイコが想いを寄せる飛坂役は、第7回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞した初主演映画「グッド・ストライプス」や「偶然と想像」などの、中島歩が努める。

メガホンをとるのは、長編映画監督デビュー作の「Dressing Up」で第14回TAMA NEW WAVEのグランプリを受賞し、第25回日本映画プロフェッショナル大賞では新人監督賞を受賞した新鋭・安川有果。「性の劇薬」「アルプススタンドのはしの方」の2作品で第42回ヨコハマ映画祭監督賞を受賞し、脚本家としても精力的に活動する城定秀夫が、今作の脚本を手掛けている。

本作は、新進女優と次世代監督がタッグを組み、「不器用に、でも一生懸命“今”を生きるヒロインたち」をそれぞれの視点で映画化するプロジェクト、”(NOT) HEROINE MOVIES”=ノット・ヒロイン・ムービーズの第二弾として制作された。

松井玲奈、中島歩、安川有果監督のコメントは以下の通り。

【コメント】

■松井玲奈
『よだかの片想い』は私にとって特別な一冊です。
描かれる恋愛模様に心奪われた日から、いつかアイコを演じたいと強く思い、そして今回その夢が叶いました。
敬愛する島本理生さんの、中でも特に思い入れの強い作品。その世界を生きることができるなんて、こんなにも嬉しいことはありません。
皆さんにご覧いただける日が来ることが、今から楽しみです。

■中島歩
安川監督と松井さんとは会ったその日から率直に話し合える風通しの良い関係でした。
それぞれが恋愛観を持ち寄り作品に織り込んでいった、気恥ずかしくも創造的な撮影でした。
皆様にご覧いただける日が楽しみです。

■安川有果監督
「まだ映画にできるか分からないが、感想を聞かせてください」とプロデューサーから薦めていただき、顔のアザによって生まれる不思議な関係性を描いた小説『よだかの片想い』を初めて読みました。

私がこれまで読んできた島本さんの小説とは雰囲気の違うライトな読み口が新鮮で、偏った美の価値観が蔓延する社会でアザごと自分を肯定したいと願う主人公アイコの魅力に心を捕まれ、読み終える頃には「他の監督の手に渡ってほしくない」と強く感じていました。

松井さんは、この役を熱望されていただけあって頼もしく、映画全体を引っ張ってくれました。シーンの相談の為に待機場所を訪ねると、びっしりと付箋のついた小説を読み込んでいた姿が今も目に焼き付いています。その覚悟と熱量で「島本作品の主人公を演じる」夢を叶えた松井さんの姿には幾度となく刺激を受けましたし、アイコに魂を吹き込んでくれた松井さんの魅力がそのままこの映画の魅力であると自信を持って言いたいです。

中島さんはユニークな方で、特に印象に残っているのは、撮影が終わってしばらくしてからアフレコにお越しいただいたときに、あるシーンの自分の演技を見て「この人モテてきた人ですね」と仰ったことです。その時は「(撮影時じゃなく)今?」と思いましたが、後になって、意識すると演技に影響が出るからわざと忘れていたんだな、と気がつきました。撮影の時にも準備してきたものを忘れることを意識的にされていた印象があり、安心できないところに身を投げ出す勇敢さに、俳優の凄さを垣間見た気がしました。

このお二人の間にしか生まれない素敵な瞬間を見つめることのできた撮影は、とても幸福な時間でした。

粘り強く何度も脚本を書き直してくださった城定さん、まだ発表されていない素敵なキャストの皆さん、支えてくださった優秀なスタッフの皆さんにも、この場を借りてお礼を言いたいです。

皆で作った映画が少しでも誰かの心に残るものになっているなら、こんなに幸せなことはありません。
お届けできる日が今から待ち遠しいです。

【作品情報】
よだかの片想い
2022年 新宿武蔵野館 ほか全国公開
配給:ラビットハウス
©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会

© 合同会社シングルライン