〈朝鮮経済復興の方法論 2〉「社会主義の潜在力」を発揮する 要は国家の統一的指導と管理

朝鮮は社会主義国家であり、この国の経済革新は、社会主義計画経済の発展潜在力を余すところなく発揮させることに焦点を合わせている。

資本主義が真似できないもの

 20世紀末、社会主義が挫折した国々は資本主義のシステムに戻った。ソ連が崩壊すると「唯一超大国」を自任する米国と西欧諸国は、資本主義が勝利し、社会主義が終末を告げたと喧伝した。

 朝鮮は、ソ連・東欧社会主義の挫折は、「歴史発展の大勢からすれば部分的で一時的な現象に過ぎない」としながらも、「それは決して偶然起きた現象ではなく、挫折の原因を正しく解明し、そこから教訓を得てこそ社会主義を守り、発展させることができる」という立場であった。金正日総書記の著作「社会主義建設の歴史的教訓とわが党の総路線」(1993.1.3)に記されている。

 総書記は、社会主義が挫折した原因を朝鮮の指導思想である「チュチェ(主体)思想」に基づいて分析した。すなわち、それらの国々では、社会主義の本質を歴史の主体である人民大衆を中心に理解することができず、社会主義建設において主体を強化し、主体の役割を高める問題を基本に据えていなかったという。強固な主体を持たない社会主義は、その優越性を発揮することが出来ず、反動勢力の反社会主義攻勢に耐えきれずに挫折したということだ。

 チュチェ(主体)思想を具現した朝鮮の社会主義制度は、敵対勢力の包囲網の中でも崩壊することなく、21世紀を迎えた。

 金正恩総書記も人民の前で初めて行った演説(2012.4.15)で、先代の領袖たちが切り開いた社会主義の道を進むと断言した。その後、朝鮮の国力向上に伴い公認されるようになった金正恩総書記の政治手腕、独特な国政スタイルも「飛躍する社会主義の未来」に対する確信によって裏打ちされている。

 「我々は資本主義が真似することができず、持つこともできない社会主義の優越性と威力を高度に発揮させ、一日も早く強盛国家を建設し、すべての面で社会主義と資本主義の差を天と地ほどにしなければならない」- 金正恩総書記が述べたこの「格言」は、人民の中で広く知られている。

 金正恩総書記の思想理論によれば、社会主義経済の優越性と威力も資本主義は真似することが出来ない。それは、個人主義に対する集団主義の長点として説明される。

社会主義経済は計画経済であり、すべての部門が有機的に結びついた大規模な集団経済だ。(写真は金正淑平壌製紙工場)

 社会主義経済が人民の福利増進を基本目的とするならば、資本主義経済は一部の人々のための利潤追求に服従する。そして、社会主義経済は市場経済ではなく計画経済であり、従属経済ではなく自立経済だ。国家のあらゆる経済的潜在力を統一的に掌握し、計画的に動員利用すれば、最大の経済的実利を確保することができる。朝鮮では、社会主義経済の優越性と威力をこのように説明する。

経済司令部としての内閣の統制力

 朝鮮における経済革新は、先進国の模倣ではなく、社会主義原則の具現であり実践だ。

 社会主義朝鮮の力は政治思想的な面ではリーダーを中心に強く結束した「一心団結」だといわれてきた。経済面で見れば、それは国家の統一的指導と管理に基づく。朝鮮労働党第8回大会で最も重視し強調された経済革新の課題は、まさしくそのようなシステムと秩序を復元し、計画経済本来の発展潜在力を取り戻すことであった。

 党大会では経済発展を阻害する弊害と問題点が指摘されたが、それは変化する現実にシステムが対応できず、既存の秩序に混乱が生じていることと関連する。原因の一つは、朝鮮で「国家の経済司令部」とされる内閣の執行力、統制力の低下である。

 党第8回大会では国家経済発展5カ年計画が示された。この計画は、経済事業に対する「内閣責任制・内閣中心制」を正しく実施し、内閣が国家経済の命脈を保ち一体性を強化していくことを前提としている。

 そのためには、敗北主義と保身、消極性と責任回避のような内閣の執行力、統制力を弱める否定的要素を克服し、経済組織者としての内閣の機能を復元することが優先課題とされた。それとともに、経済に関連するすべての事柄を内閣に集中させ、内閣の統一的な指揮下にそれを進める規律を立て、これに対する法的統制も強化していくとした。

計画経済、集団経済の発展潜在力を発揮させるうえで、国家の経済司令部である内閣の機能と役割が重要だ。(写真は、C1化学工業創設のための建設現場を訪れた金徳訓内閣総理、朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 金正恩総書記は、「内閣の事業は党中央委員会の事業であり、党第8回大会決定の執行はすなわち内閣事業である」と強調している。内閣の立場からすれば、経済活動に対する労働党の唯一的指導体系を徹底的に確立する重責を担ったことになる。

 主体強化による現状打開

 資本主義市場経済に編入された対外依存型経済の脆弱性は、不況の波が国境を越えてくる度に確認されている。

 朝鮮は、経済的自立を自主的な国家建設の担保、前提とする路線を一貫して堅持してきた。

 現在の経済革新も、外部の力ではなく、自らの力、すなわち、国家経済発展の主体を強化し、その役割を高めることを基本に据えている。国内の人的、物的資源を合理的に動員利用し、生産と分配、蓄積と消費を統一的に捉えて実現する社会主義計画経済の優越性、生産者の意欲と創造性を発展の動力と位置付けている。

 内閣の統制力回復のための対策が示すように、現存する欠陥と弊害を克服し、内部の力を全面的に整理整頓、再編成することで主体を強化し、内なるパワーを増大させながら難関を突破し、経済発展を遂げる。これが朝鮮における革新の方法論となっている。

 抗日パルチザンの時代、金日成主席が「朝鮮革命の進路」(1930.6.30 卡倫会議での報告)で、朝鮮革命の主人は朝鮮人民であり、朝鮮革命はあくまでも朝鮮人民自らの力で、国の実情に合わせて遂行しなければならないという立場を闡明し、チュチェ思想の原理を示した時から、朝鮮では「勝利の方程式」が変わることなく受け継がれてきた。ソ連と東欧社会主義が崩壊した時も、朝鮮はチュチェの思想と理論を実践し、東アジアで社会主義の砦を守った。

 党第8回大会の決定は、チュチェ(主体)強化の歴史的ルーツと伝統、朝鮮の今日と未来をつないだといえる。

 金正恩総書記は「すべての参加者を代表して、本大会がわが党の創立者、建設者であり、偉大な首領である金日成同志と金正日同志の革命思想と偉業に徹底的に忠実であることを厳粛に宣誓する」と述べて党第8回大会の開会を宣言した。その場面は、党大会を基点にして始まった経済革新の真髄が何かを雄弁に物語っている。

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