県防災訓練 異例の3年連続中止 連携、対応力向上に懸念 代替求める声

© 株式会社新潟日報社

津波への対応に焦点を当てた2018年度の総合防災訓練。約360人が参加し、住民避難や救助活動などに取り組んだ=粟島浦村

 新型コロナウイルスの流行を受け、新潟県は10月に津南町で予定していた総合防災訓練の中止を決めた。2019年に新潟市、20年に弥彦村で予定していた訓練も取りやめており、3年連続中止という異例の事態となっている。訓練は県内の市町村、関係機関をはじめ地域住民も多数参加する年に一度の機会。各機関との連携や対応力の向上を図る貴重な場が失われることへの懸念や代替の取り組みを求める声が出ている。

 津南町で最大震度7の地震が起き、多数のけが人が発生-。こうした想定で予定していた10月の訓練には、町や消防、自衛隊など約80の機関、計約200人が参加する計画だった。

 県が中止を決めたのは、新型ウイルスに関する特別警報を全県に発令中だった9月初旬。「町だけではできない規模の訓練が中止されるのは、非常に残念だ」と町総務課防災担当の滝沢亮太主事は惜しむ。

 町が訓練の会場となるのは初めてで、町職員は住民避難、感染症対策を踏まえた避難所の設置・運営などに取り組むはずだった。避難路の警備や救援物資の輸送に当たる民間事業者は町単独の訓練に参加したことがない。連携を深められるとの期待もあった。

 滝沢主事は「住民の意識向上のため、せめて代替で何かできないか。今後、県と相談したい」と話す。

   ◇    ◇

 訓練には例年、40~80ほどの関係機関が参加。新型ウイルスの流行以前は、毎年数百~1万人規模を動員していた。県内30市町村を順次、会場としているため、各市町村にとっては大規模訓練を実地で経験できる貴重な機会だ。

 だが、新潟市で予定していた19年の訓練は大型台風の接近が予測されたため中止。弥彦村での20年と津南町での21年は、いずれも感染症の急拡大を受けて取りやめとなった=表参照=。

 こうした状況に、代替の取り組みを求める声は県議会でも上がった。

 「訓練は人的被害の低減につながり、非常に大事だ。中止による空白をどうカバーするのか」。8日、県の防災対策について議論する特別委員会で、自民党の横尾幸秀県議がただした。

 県危機対策課の酒井公生課長は、中止しても「準備段階の打ち合わせで関係機関とのネットワーク構築に一定の成果があった」と説明した。一方で、住民の防災意識や対応力を高める目的は果たせていないとして、代替の取り組みを検討していると答えた。

   ◇    ◇

 具体的にどんな代替策があるのか。同課は、防災関連の有識者による住民向けの講習会を念頭に置いている。ただ、それ以上の取り組みについては「人の密集を避けるために訓練を中止した以上、人をあまり集めずに何ができるか。なかなか難しい」(同課の大崎達也参事)と頭を悩ませる。

 新型ウイルスの収束はいまだ見通せず、22年以降の訓練も中止せざるを得なくなる可能性がある。その場合の代替措置について、大崎参事は「その都度、考えて計画するしかない」と話す。

 花角英世知事は15日の定例記者会見で「訓練のやり方に何か工夫の余地はないのかという議論はある」と述べ、代替の訓練も含めて模索する考えを示した。

<県の総合防災訓練> 災害対策基本法に基づき、県が「地域住民の防災意識、対応力の向上」「関係機関の連携強化」を主な目的に毎年、実施している総合的な訓練。地震や津波などによる被害を想定し、災害対策本部や避難所、救護所の設置・運営、住民避難、救助活動、ライフラインの復旧などに取り組む。近年では中越沖地震が発生した2007年に中止した例があるが、3年連続の中止は初めてという。