県産ホップ生産継続 ひでじビール、オーナー制始動

延岡市北方町の畑でホップを収穫する亀長浩蔵社長

 延岡市行縢町の「宮崎ひでじビール」(永野時彦社長)は、市内で今夏栽培したホップを会員に購入してもらう「ホップオーナー制度」をスタートさせた。契約農家の収入確保と、消費者がホップ生産に関わることで地方の地場産業を支えることにつながるという付加価値創出も狙う。SNSを通してオーナーと地元やオーナー同士の交流も進め、秋に出荷する限定商品は割安で優先販売する。
 同社はビール製造に必要な水、酵母、大麦、ホップのすべてを県内産で賄う「オール宮崎産ビール」の生産体制確立を目標に掲げる。ホップ生産は2017年、同市北方町と五ケ瀬町内の畑で開始。栽培実績のない本県で試行錯誤を重ねて今年、ビール製造に必要な一定の収量の見通しが立つまでになった。
 5、6月にオーナーを募集すると、全国から約140人の応募があった。オーナーはホップの株を5千円~1万円で購入。収益は農業生産法人「スローライフトゥ」(亀長浩蔵社長)への生産委託費などに充て、現状では採算が合わないホップ生産を継続させるための資金にする。
 ホップは一株ずつにオーナーの名前を付けて栽培しており、今年8月に収穫した。作業風景はフェイスブックに立ち上げたオーナー限定のサイトの中で随時紹介。また、オーナーを招待しての「オンライン飲み会」を定期的に開き、交流を深める。
 「オーナーの顔を想像するとホップへの愛情が深まる」と亀長社長。生産技術を確立して生産者増を目指す。永野社長は「県産ビールが造れるようになれば農家の収入増にもつながる。ぜひ夢を実現させたい」と話している。

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