「おおごとなんよ!」…酒どころが消費を訴え 広島

広島を代表する食文化の1つ酒造りが新型コロナと豪雨のダブルパンチを受けて窮地に立たされています。まさに「おおごと」なんです

三次市三和町でおよそ100年の歴史がある美和桜酒造。酒造りが始まる冬場を静かに待つ酒蔵を尋ねると・・・

美和桜酒造 坂田賀昭社長「数えてないですけどどれくらいあるんですかね。これ全部奥までそうです在庫ですね。来月の頭には出さないといけない(酒造り前に)蔵の掃除とかが始まるのでここにあってはならない」

所狭しと積まれているのは今年の春に製造された日本酒です。その数、一升瓶でおよそ3000本。5000リットル近い日本酒が行き場を失っています。

美和桜酒造 坂田賀昭社長「コロナで今の状況になる前と比べると、のべで3割ぐらいは出荷量が落ちている。(出荷量が)50%を切る月もあった」

原因は長引くコロナ禍です。緊急事態宣言や度重なる飲食店への時短要請などにより消費の低迷は深刻に。先行きが見通せない状況が続きます。

消費の低迷は日本酒の原料となる酒米の生産にも大きく影響します。JA全農ひろしまによりますと、ことし秋の収穫量は去年からおよそ4割減少する見込みです。

更に、先月の大雨で安芸高田市の田んぼが被災。まさにコロナと大雨の「ダブルパンチ」です。

美和桜酒造 坂田賀昭社長「日本酒の消費が落ちれば当然(生産する)米もそれだけ減っていく。(農家にとって)酒米がつくれないのはメンタル的にも相当キツい」

厳しい状況を受けて県内で酒造りをする人たちが動き始めました。

美和桜酒造 坂田賀昭社長「日本酒の消費が低迷しているのと農家の応援のためにこういうポップを作った」

坂田さんが手渡したのは県内48カ所の蔵元が集まる酒蔵組合で制作したポスターです。

大和屋酒舗 桑田将志さん「厳しい状況は我々も感じていますが、こういう広島弁で伝えられるといっそう危機感や使命感を感じます」

窮地に立つ広島の酒造り文化。受け継がれてきた味と技術の継承へ…厳しい状況が続きます。

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