【中国】スシロー、コスパ重視で市場開拓へ[サービス]

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開業前に開かれた試食会の様子=20日、広州市

回転ずし「スシロー」の中国本土1号店がきょう22日、広東省広州市でオープンする。日本では回転ずし大手4社の一角を占めるスシローだが、中国の回転ずし市場では後発のスタートとなる。日系や中国系の同業がひしめく中、1皿10元(約170円)の商品を中心としたコストパフォーマンス重視の戦略で市場開拓を目指す。

店舗は市内天河区の商業施設「東方宝泰購物広場」に設けた。運営はスシローなどを運営するFOOD&LIFE COMPANIES(旧スシローグローバルホールディングス)の中国子会社、広州寿司郎餐飲(広州スシロー)が担う。

開店時のすしメニューは約90品目。このうち10元の商品が全体の7割弱を占める。このほか、15元が2割弱、20元と28元がそれぞれ1割弱を占めている。

中国では近年、日本食人気が熱を帯びており、回転ずしを含め、すし店が増加傾向にある。中国のグルメサイト「大衆点評」で広州エリアのすし店を検索すると、約4,700店が表示される。

広州スシローの強みはマグロ、エビ、タコ、イカといった代表的なすしネタを10元で提供できる点にある。市内の同業他店でも10元前後の商品は取りそろえているが、タマゴやかっぱ巻きといった箸休め的な商品だ。

広州の一般的な回転ずし店では、マグロやエビなどのすしネタは2貫1皿で通常価格15~35元ほどに設定。一方、広州スシローは代表的なすしネタを10皿食べても100元ほどで済ますことができる。広州の日本料理店で会食をすると、1人当たりの単価は250~350元が相場だ。

■「安さ第一ではない」

広州スシローの松田一成総経理は「安さ勝負を仕掛けているわけではない」と強調。「“安さ”を出発点に考えているのではなく、“うまいすし”を軸に据えた上で、消費者にいかにコスパの良さを感じてもらえるかを第一に考えている」と話す。

広州スシローは19~20日、関係者を招いて試食の機会を設けた。来店した男女5人の中国人グループは「ネタが新鮮でおいしい」と満足気だ。

広州の日本人社会の間では開業が近づくにつれ、会員制交流サイト(SNS)上で中国1号店の話題が数多くアップされており、スシロー初出店への関心の高さがうかがえる。

中国1号店では同社の最新設備を導入し、客席に商品を効率的に提供できるよう工夫がなされている。一般的な回転ずし店では商品を運ぶレーンは通常1本だが、同店では高架式道路のように通常レーンの上にもう1本の専用レーンを設け、注文があった商品を直接客席に届ける方式を採用した。通常レーンを使わずに専用レーンに商品を流すことで、調理場でできあがった商品が客席に到着する時間を短縮できるだけでなく、取り間違いを防ぐ効果もあるという。

注文した商品は通常レーンの上部に設けた専用レーンを通って客席に直接届けられる=20日、広州市

■年内に2号店

FOOD&LIFE COMPANIESは今月20日時点で、「スシロー」ブランド(持ち帰り専門店を含む)を日本で609店展開。海外では韓国(9店)、シンガポール(9店)、タイ(2店)などアジア各地に55店を出店している。

松田氏は中国本土初出店の地に広州を選んだ理由について、「食材が豊富なことに加え、“食は広州にあり”という言葉が表しているように食に対する感度が高い消費者が多いため」と説明した。

広州の日系コンサルティング会社、せとうちコンサルタントの平岡省吾総経理によると、日系の外食大手は中国初進出の地に知名度が高い北京や上海を選ぶ傾向が強いという。平岡氏は「日系外食大手の市場開拓が上海ほど進んでいない広州はスシローにとって有利な市場環境と言える」と指摘。「スシローの強みを生かすことを考えると、広州進出は目のつけどころがよい」と評価した。

松田氏は今後の出店計画について、広州市の目抜き通り「天河路」にある商業施設「正佳広場」に2号店を出店すると説明。年内に開業する見通し。3号店も市内に設ける予定。4号店以降は「現在公開できる情報はない」と話し、まずは広州で足場を固める方針だ。(広州・川杉宏行)