甲子園で注目された「白スパイク」が大人気 用品店では品薄続き、効果に迫る

アマチュア野球界に「白いスパイク」ブームが到来

かっこいいだけじゃない、熱中症のリスクを軽減させる効果も

今、アマチュア野球界には「白スパ」ブームが到来している。今春の選抜高校野球大会では出場校の約7割が従来の黒ではなく「白いスパイク」を使用。今夏の全国高校野球選手権でもほとんどの出場校が「白スパ」を履いていた。人気はどんどん高まっており、品薄になっているスポーツ用品店も多い。

選抜でも話題となった白いスパイク。出場32校のうち約7割が使用していた。日本高校野球連盟が、白いスパイクを解禁したのは昨年3月。本来は、その年の選抜が初披露の場となる予定だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会は中止となり、昨年8月に開催された選抜出場予定校による1試合限定の交流試合でお披露目となった。この時は32校中、44%にあたる15校が白いスパイク。半年ほどで、「白スパ」の人気は全国で高まったことが分かる。

大手スポーツメーカーのミズノでも、スパイクの売れ筋は黒から白へと移行している。昨年は販売した金具スパイクの8~9割が黒だったが、今年はほぼ半々に。東京店で販売を担当する安河内雅史さんは「高校野球を見た中学生が白いスパイクを求めて来店してきます。品薄の状態が続いていて、最近ようやく商品が入ってきました。多くの販売店が、入荷したらSNSでアップするくらい人気です」と過熱ぶりを肌で感じている。電話での問い合わせも増えているという。

「見た目がかっこいい」「足が速そうに見える」と評判の白いスパイクだが、パフォーマンスを高める効果があると言われているのが、人気を集める最大の理由だ。黒に比べてスパイクの外も中も温度の上昇を抑えられるため、日本高野連も熱中症対策の一環として白も使用可能とした。熱中症になった際には靴を脱がせて体温を下げることが推奨されるほど、足の温度は大切なのだ。

ミズノの調査では表面温度は15度以上の差、内部も約10度の差があった

2年前の8月下旬、ミズノは午前10時半から午後4時半まで黒と白、それぞれ人工芝の上に置いたスパイクの表面温度と内面温度を独自で計測した。その日の天候は晴れで最高気温32度。調査の結果、最も気温が高くなる時間帯で黒の表面温度は67度を超えたが、白は50度以下に収まった。

スパイク内部も黒の最高温度は50度以上だったのに対し、白は40度ほどで、約10度も低かった。炎天下の中、これだけの違いがあれば、球児の体調やパフォーマンスに影響するだろう。温度が上がりやすいグラウンドでプレーする選手は白いスパイクの方が快適なはず。早めに黒と白の明るさの違いなどに慣れておくことも必要だ。

スパイクは紐のイメージが強いが、白いスパイクはベルト式も増えてきている。安河内さんは「選手たちはウォーミングアップをしてすぐにスパイクに履き替えるので、速くスムーズに着脱できるマジックテープを好んでいるように感じます」。重くて足が疲れる印象のあるスパイクだが、ミズノの店頭に並ぶ白いスパイクはサイズ27センチで重さは235グラム。ひと昔前より150グラムほど軽くなっているという。(記事提供:First-Pitch編集部)

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