時津の無理心中妻殺害 無罪判決 うつ病で心神喪失疑い 長崎地裁

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 昨年6月、無理心中を図り妻=当時(72)=を殺害したとして殺人の罪に問われた長崎県西彼時津町野田郷、無職の男性被告(78)に対し長崎地裁(潮海二郎裁判長)は21日、重症のうつ病により心神喪失状態だった疑いが残るとして無罪判決を言い渡した。
 男性被告は妻を包丁で刺し殺したとして起訴され、起訴内容を認めた。検察側は「限定的だが責任能力はあった」として懲役5年を求刑。弁護側は心神喪失状態で責任能力はないとして無罪を主張していた。
 判決によると、被告と妻の関係は良好だったが、被告は昨年2月ごろにうつ病を発症。同4月ごろには自殺したいと考えるようになり同6月3日、犯行に及んだ。犯行後、自宅を訪ねた次男に「帰ってよ」などと述べ、自身の腹と首を包丁で切り自殺を図った。
 潮海裁判長は「献身的にサポートしていた妻を殺害して自殺を図ることは、うつ病の影響なしでは到底理解できない」と指摘。その上で、うつ病の影響で殺害を思いとどまることができなかった可能性があるとして「行動を制御する能力が欠けていた疑いが残る」と判断した。
 これまでの公判で被告は「支えてくれた妻を殺してしまった。より重い判決が出されることを願っている」と供述していた。潮海裁判長は判決を言い渡し「医療を受けてうつ病を治し、生き抜いてほしい。一番つらいのはあなただと思う。きちんと生きることで償いをしてほしい」と説諭した。被告は「分かりました」と答えた。
 弁護人は取材に「主張をくんでくれて安心した」と話した。長崎地検は「判決内容をよく検討し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントした。

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