麻生太郎氏、橋下徹氏もツッコんだ「人流増えて感染者急減」の謎 説明できぬコロナ分科会

左から麻生氏、橋下氏(東スポWeb)

東京都が21日に発表した新型コロナウイルスの新規感染者は253人となり、今年6月21日以来、3か月ぶりに300人を下回った。9月に入ってから急激に感染者数は減少。政府は同日、19都道府県に発令している新型コロナウイルス緊急事態宣言について、今月末の期限での解除に向けて検討に入った。28日に新型コロナ感染症対策本部会合を開き正式決定する。一方で、分科会が主張してきた人流抑制について、多くの識者たちから疑問の声が上がっている。

いったい、何が原因で感染者数の急激な減少をもたらしたのか?

政府と分科会は当初から、人流抑制が新型コロナ感染予防の最重要課題と位置づけて、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を発令してきた。昨春の第1波には人流抑制が功を奏したかに見えたが、ここにきて状況が変化。人流抑制と感染者数の相関関係に大きな疑問符がつくことになった。

NHK特設サイトの「街の人出」データによれば、7月12日に4度目の緊急事態宣言が発令される前から現在に至るまで、東京・渋谷のスクランブル交差点の人流にほとんど変化がないのだ。

これに麻生太郎財務相は21日の会見で「われわれ素人から見て、あの話(人流増加が感染増加につながる)はまったくウソだったって話になるんですかね? よく分からないね、俺は」とチクリ。この日、情報番組「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」(TBS系)に出演した弁護士の橋下徹氏も「人流が減っていないのに一気に感染者数が急減したことについて、専門家の皆さんは『不思議だ』とか言っていた。不思議じゃ困るんですよ!」と糾弾。その上で「人流と感染者数の相関関係を科学的に見せてほしい」と厳しく要求した。

これらの厳しい発言の背景には、これまで国民に厳しい提言をするばかりで、予測に反することが起きても事後検証してこなかったとの批判もみられる分科会の姿勢にある。

医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は、分科会の問題点をこう指摘する。

「分科会は提言するが、検証機能を持っていないのか、検証する気がないのか、責任を伴っていない。一度始まればしがらみで後戻りできない公共事業と同じで、最初に人流抑制とワクチン接種をコロナ対策の柱に決めてしまったから、状況が変化しても後戻りできない状態。検証せず科学的根拠を示せないことで国民の信用も失い、もはや分科会は意味を成していない。ポストコロナに向けて解体すべきだ」

さらに分科会は感染症対策の専門家に偏りすぎており、統計データを見る専門家が不足していることも問題だという。

しかし、人流が減少していないにもかかわらず、どうして感染者数が減少したのかは謎が残るところだ。多くの専門家はワクチン接種が進んだことを理由に挙げるところだが、古本氏は「ワクチン効果はあるが、絶対的ではない」として、こう話す。

「世界を見渡すと、ワクチン接種率が高いのに死亡者数が増加しているイスラエルのような例もあれば、あまりワクチン接種が進んでいないのに、なぜか感染者数が少ないスロバキアのような国もある。そこへきて、現在の人流を無視したような日本の感染者数の急減少。こうなってくると、人流抑制だとか、ワクチン接種だとかとは全く関係ない別次元のファクターXがあるんじゃないかと考えたくなる。だからこそ、これまでの対策と結果を検証するのが大事なんです」(古本氏)

次々に変異株が登場することもあって、いまだに謎だらけの新型コロナウイルス。人類が理解できる日は来るのだろうか?

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