ロッテは効率的、鷹は”あと1本”が出ない? データで見るパ球団の「勝負強さ」は

ソフトバンク・工藤公康監督(左)とロッテ・井口資仁監督【写真:荒川祐史】

チーム打率がリーグ3位ながら、得点数トップのロッテの「WPA」は…

ペナントレースも佳境を迎えている2021年のプロ野球。セ・リーグは阪神が首位に立ち、ヤクルトと巨人が追う構図となり、パ・リーグはロッテが首位、オリックス、楽天、ソフトバンクが追いかける形で、残り試合数も30試合ほどとなっている。

今季ここまで110試合前後を消化してきた12球団。では、果たして、ここまで各チームの打線はどれだけ勝負強く、重要な場面で得点を生み出してきたのだろうか。

セイバーメトリクスの指標には、各選手がどれだけ勝利期待値を増減させたかを示す「WPA」というものがある。これはプレーした状況を考慮し、同じヒット、同じタイムリーでも勝敗の分かれ目となる重要な場面での一打がより評価される指標。これを見ると、どのチームが、より勝負どころで一打が出ていたかを読み解くことができる。

では、ロッテが首位に立つパ・リーグを見てみよう。データはセイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを参照した。

パ・リーグで「WPA」がトップなのは、首位に立つロッテ。WPAはリーグでダントツの6.01を記録している。ロッテは今季ここまでのチーム打率.248でリーグ3位。それでいて、ダントツの501得点をマークしている。98盗塁と機動力を生かしていることも光るが、それ以上に、勝負の行方を左右する場面で“あと1本”が出ており、今季は“勝負強いチーム”であると言えるだろう。

チーム打率、得点ともに2位ながら、WPAはリーグ5位のソフトバンク

WPAの2位はリーグ順位でも2位のオリックス。ロッテとは大きく引き離されているものの、「WPA」は-0.09となっている。オリックスはリーグトップのチーム打率.250を記録しているが、チーム得点は同3位の453得点。ここ一番での勝負強さの面で、ロッテと差が生まれている。

オリックスに次ぐ3位は西武。WPAは-0.34でオリックスと遜色はない。今季はチーム打率.245が4位タイ、441得点は5位と山賊打線としては物足りないが、このWPAを見る限りは、決してチャンスで1本が出ていないわけではない。WPAが-2.58で4位の楽天とチーム打率、チーム得点数に差はなく、リーグワーストのチーム防御率4.05の投手陣次第で浮上の余地があったと言える。

この2チームに続くのが、リーグ4位に沈み苦戦を強いられているソフトバンク。WPAは-2.59となっており、勝負どころでの1本がなかなか出なかったチーム状況を映し出している。ソフトバンクはチーム打率.249、チーム得点457は共にリーグ2位。にも、関わらず、WPAが大きくマイナスになっているということは、勝利期待値を大きく上昇させる接戦での一打は少なく、勝利期待値の変動に大きく寄与しない場面や大量リード時、大量ビハインド時では一本が出ていたということになる。

パ・リーグでワーストは最下位に沈む日本ハム。WPAは他5球団から大きく引き離され、-9.38と惨憺たる数字になっている。日本ハムはチーム打率.231、チーム得点353はいずれもリーグワースト。なかなかヒットも出ない上に、チャンスでもあと1本が出ないという、苦しいチーム状況が、このデータからも分かる。(Full-Count編集部)

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