宮崎大と都農町 連携成果は 寄付講座1年半シンポ

都農町をフィールドとした寄付講座の取り組みが報告されたシンポジウム

 都農町が運営費を拠出し、宮崎大が医学部と地域資源創成学部に2020年4月に寄付講座を開設して1年半。同講座の取り組みを報告するシンポジウム「地域志向型教育の新たな挑戦」は17日、オンラインであり、地域医療充実など振興を目指す大学と町の連携の在り方を議論した。
 医学部は専任教員が町国民健康保険病院に常駐し、総合診療科を設立。12週に上る医学生の長期滞在型実習や研修医実習を受け入れている。桐ケ谷大淳(だいじゅん)准教授は「大学が地域貢献を通して地域のことを学ぶ『地域医療教育』ができている」と充実ぶりを報告。地域資源創成学部との実習での連携が進めば、「都農モデル」として最先端の地域医療教育が実現できると展望した。
 地域資源創成学部は、学生が町内を訪ね歩き、中心市街地活性化など町の課題への理解を深めた。瀬川直樹准教授は、学生が地域の課題解決に向けたプロジェクトの企画立案まで行う難しさを課題に挙げた。「学生がどんどん都農町に行って活動する講座にしたい」と希望し、大学から同町までの移動手段充実が求められると指摘した。
 同大学の國武久登副学長は「今後につながる町関係者とのベースが構築できた。都農で学生教育をしながら町づくりを支援している」と活動を総括。河野正和町長は「活動を継続し、結果を出すには学生の拠点が必要。(再整備を計画している)都農高跡地を拠点にして町全体を学びや交流の場にしてほしい」と今後の方向性を示した。
 シンポジウムは地域をフィールドにする全国の大学教員ら約60人が視聴。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の青木純参事官補佐の基調講演もあった。

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