米国が福島県産などの食品輸入規制を撤廃 14の国・地域は依然規制続く

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 農林水産省は22日、米国が東京電力福島第一原発事故後に実施してきた福島県を含む14県の食品に対する輸入規制を撤廃したと発表した。福島県はコメ、原乳、原木シイタケなど全国で最多の35品目の輸入停止措置が続いていた。海外での県産農林水産物の風評払拭(ふっしょく)、輸出拡大などが一層進むとみられる。14の国・地域では輸入規制が続いており、完全な撤廃に向けて国、県がどう取り組むかが課題だ。

 同省によると、県産農林水産物のうち米国の輸入停止措置が撤廃された品目はコメや原乳、原木のシイタケ、ナメコをはじめ、キャベツやブロッコリーなどの野菜、野生のフキノトウやコシアブラなどの山菜、ウグイなどの魚を含め35品目に及ぶ。

 2020(令和2)年の米国への農林水産物・食品の輸出総額は日本全体で1188億円。香港、中国に次ぐ世界3位となっている。菅義偉首相が4月、バイデン大統領に規制解除の働き掛けを行った。米国食品医薬品局が今回、独自検査や農林水産省から示された安全性のデータなど科学的根拠に基づき撤廃を判断したという。

 米国は日本酒や加工食品など県産品の最大の輸出相手国でもある。2020年度の輸出額は3億4700万円で、全体の約4割を占める。福島県から米国への農畜産物の輸出は原発事故発生前も含めて牛肉のみだが、事故前に年間数100キロ程度だった出荷量は2018(平成30)年度に統計開始以来最大の4577キロまで増えるなど福島県産の品質が高く評価されている。県は規制撤廃によって輸出拡大に弾みがつくと期待する。

 原発事故後に日本産食品への輸入規制をしていた国・地域は55あったが、米国の規制撤廃により14まで減少した。ただ、中国をはじめ、香港、台湾、韓国、マカオでは放射性物質検査の証明書の有無に関わらず輸入しない輸入停止措置が続いている。

 輸入の際に放射性物質検査の証明書などが必要となる輸入規制は欧州連合(EU)など九つの国・地域がある。政府による東京電力福島第一原発の処理水の処分方針決定後、福島県関係者からは「輸入規制撤廃の取り組みが後退するのではないか」と懸念の声も上がる。

 政府は今後、各国への安全性の情報発信や外交の取り組みを強化する。県は米国の規制撤廃を好機と捉え、コメなど新たな品目の輸出に向けた事業者の取り組みを後押しする。具体的には県産品の輸出を目指す事業者の商談などを支援する方針だ。

【米国の輸入停止措置が撤廃された福島県産の農林水産物】

原乳、野生のタラノメ、クロソイ、タケノコ、非結球性葉菜類(コマツナ、シュンギク、チンゲンサイ、ミズナ、サニーレタス、ホウレンソウなど)、結球性葉菜類(キャベツ、ハクサイ、レタス)、アブラナ科の花蕾類(ブロッコリー、カリフラワー)、クリ、野生のフキノトウ、ゼンマイ、野生のコシアブラ、キウイフルーツ、原木シイタケ、原木ナメコ(露地栽培)、野生のキノコ類、クサソテツ、ワラビ、コメ、カブ、ウメ、フキ、野生のウワバミソウ、ユズ、ヤマメ(養殖を除く)、ウグイ、ウナギ、イワナ(養殖を除く)、クマの肉、牛肉、イノシシの肉、ヤマドリの肉、キジの肉、ノウサギの肉、カルガモの肉