ロッテ優勝へ最大の試練 データに表れるマーティンの大きすぎる貢献度

ロッテのレオネス・マーティン【写真:荒川祐史】

19日に自打球を受け、21日に登録を抹消されたマーティン

パ・リーグ首位を走るロッテに悲報がもたらされた。21日に主砲のマーティンが出場選手登録を抹消された。19日の日本ハム戦で自打球を右足に当て、20日の同戦を欠場。病院での検査の結果、右足中間楔状骨骨折と診断されたという。

22日のソフトバンク戦に敗れ、56勝42敗17分で2位オリックスと2.5ゲーム差をとなったロッテにとって、マーティンの離脱は大きな痛手となりそう。今季は99試合に出場して打率.249、25本塁打70打点をマーク。右翼の守備でも強肩を武器とし、その送球を恐れて相手走者が進塁を自重する“抑止力”の面でもチームに貢献していた。

ただ、マーティンの“存在感”というのは、これらの主な成績だけには表れない大きさがあるのも事実だ。そこで、セイバーメトリクスの指標を用いて、マーティンの“価値”を紐解いてみる。データはセイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを参照した。

マーティンは今季、12球団で最も“勝負強い”打者だった

マーティンが特に秀でているのは、その“勝負強さ”ではないだろうか。セイバーメトリクスの指標には、各選手がどれだけ勝利期待値を増減させたかを示す「WPA」というものがある。これはプレーした状況を考慮し、同じヒット、同じタイムリーでも勝敗の分かれ目となる重要な場面での一打がより評価される指標。この「WPA」でマーティンは12球団トップの成績を残す。

マーティンのWPAは4.74で両リーグ通じて1位だ。2位は広島の鈴木誠也(4.21)、3位がDeNAのタイラー・オースティン(4.00)、4位が巨人の岡本和真(3.91)となり、5位はロッテのブランドン・レアード(3.89)。ロッテの助っ人2人がパ・リーグの1位、2位を占めており、これに続くのがオリックスの杉本裕太郎(3.87)、吉田正尚(3.80)となる。

この「WPA」から見ると、マーティンは12球団で最もチームの勝利期待値を増加させた選手ということになる。打率は.249と決して高くはなく、得点圏打率も.316とリーグ8位ではありながら、この「WPA」でトップということは、同点や逆転、勝ち越しに繋がるような、チームの勝利期待値を増加させる“殊勲打”を多く打っているという証だ。

打率.249にも関わらず.374と高い出塁率も残していた

また、打率.249はリーグ22位であるのに対して、出塁率.374はリーグ10位になる。これはチームメートで打率.305をマークする荻野貴司よりも上。打率こそ高くないが、出塁率の高さはリーグでも屈指の存在で、それに加えて、無類の勝負強さがあるということになる。

マーティンは今季、中断期間中に一時帰国し、自宅待機期間があったため、シーズン再開時点では不在。後半戦の始まった8月13日から、再登録された8月27日までの11試合で欠場している。この間、ロッテは5勝5敗2分。一方で復帰した8月27からマーティンが出場した16試合は11勝3敗2分となっており、白星を多く積み重ねている。

マーティンが不在の間は角中勝也や山口航輝、岡大海らを起用して戦ってきたロッテ。2005年の優勝は2位からプレーオフを勝ち上がっての“優勝”だった。1974年以来、47年ぶりの“リーグ優勝”へ向けて残り29試合。マーティンを欠く中でいかにして戦っていくことになるだろうか。(Full-Count編集部)

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