最後の外遊

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 遊説、遊学、遊牧。どの「遊」も別に〈楽しいことをしてすごす〉わけではない。「遊」には「旅・移動」の意味があって、政治家が外国を訪ねる「外遊」もこの遊だが、政治家の側では「遊ぶ」の語感が悪い-と別の用語をご希望の向きもあるとかないとか▲後任が指名される臨時国会の日程も固まり、退任まで半月を切った菅義偉首相が異例の外遊に臨む。ワシントンで開かれる日米とオーストラリア、インドの4カ国(クアッド)首脳会談▲3月のクアッド初会合はオンラインだった。加藤勝信官房長官によると「地域が直面する共通の課題について率直に議論し、自由で開かれたインド太平洋を推進する」のだという▲内政と外交は別問題、と理解を示す見方の一方で、もうじき辞める首相に責任ある発言や約束ができるのか、との声も聞かれる。「卒業旅行」「思い出づくり」「YOUは何しに…」と無遠慮な論評も▲対面の首脳会談は、アフガニスタンの混乱やフランスとの関係悪化など外交の失点が続くバイデン米大統領が強く望んで、との説がある。だとしたら、そこへ引っ張り出される役回りは少し気になる。変に重い土産を持たされはしないか▲コロナ対策に専念する-の前言を翻して訪れる米国。“花道”と呼べそうな成果は残せるだろうか。(智)