〝キャンセルカルチャー〟に立ち向かうジョニー・デップ「ひるむことなく立ち上がって」

授賞式に登壇したジョニー・デップ(ロイター)

スペインで開催中のサン・セバスチャン国際映画祭で22日、米俳優ジョニー・デップ(58)が映画界に著しい貢献をした功労者に贈られる「ドノスティア賞」を受賞。壇上でデップは、米国を中心に急激に広がった〝キャンセルカルチャー〟によりアンフェアな仕打ちを受けているとし、被害者には不公正に立ち向かうよう呼び掛けた。

キャンセルカルチャーとは、主に著名人の言動を糾弾し、映画やテレビの出演や放送を一方的に中止させることで社会的に排除する動きのこと。2010年代半ばから顕著になった。

デップは「もし、あなたやあなたが愛する人、また、あなたが信じる人が不公正の対象になったら、ひるむことなく立ち上がって下さい。その支えが必要だから」と訴えた。

米芸能誌「デッドライン」(電子版)によると、デップの発言は自分を「DV(家庭内暴力)夫」と報じた英大衆紙サンをめぐる訴訟による影響に言及したもの。当時の妻で米女優のアンバー・ハード(35)へのDVがあったとする同紙の報道は「事実無根で、名誉毀損にあたる」として発行元を訴えた裁判だ。

だが、英国の裁判所は昨年、記事の内容は「おおよそ事実」と認定し、原告敗訴の判決を言い渡した。デップはこの判決を不服として控訴申請したが、英控訴院は今年3月、「原告に勝算は見込めない」として申請を受け付けず、門前払いされた。

この判決を受け、ワーナー・ブラザースはデップを人気映画シリーズ「ファンタスティック・ビースト」からの解雇を決定した。

一方、米国ではデップがアンバーを相手取り、損害賠償5000万ドル(約55億円)を求める名誉毀損裁判が来年ようやく始まる。これはアンバーが米紙ワシントンポストに自らのDV被害を告白したとする論説記事を寄稿。デップは「アンバーがDVをでっち上げた」として提訴していたが、コロナ禍で裁判が大幅に遅れていた。

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