<社説>伊江島落下傘降下 際限ない訓練拡大やめよ

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 伊江島で、パラシュート降下訓練中の米兵が民間地に降下する事故が起きた。県や村が再発防止を繰り返し求めてきたにもかかわらず、民間地への降下事故は一向に歯止めがかからない。 米海兵隊は民間地降下の前にも、地元が危険視する航空機から物資を投下する訓練を事前通告なく実施し、その様子をインターネット上で公開までしている。人々が暮らす島という意識が薄いのではないか。重大事故が起きてからでは遅い。際限のない訓練の拡大を許してはいけない。

 21日午後4時20分ごろ、米軍伊江島補助飛行場でパラシュート訓練中の米兵2人が風にあおられ、1人はフェンスから1.2キロ離れた砂浜、もう1人はフェンスから200メートル離れた畑地に降り立った。

 伊江島では2020年1月にも、伊江島補助飛行場そばの畑に、米軍のパラシュートと砂袋入りのプラスチック製の箱が落下する事故が起きている。人的・物的被害が確認されていないからといって、民間地への降下、落下は許されるものではない。

 県内では1965年に読谷村で、米軍によるパラシュート投下訓練中に約2.5トンのトレーラーが民家そばに落下し、小学5年生の女児が下敷きになって亡くなる事故が起きている。生活の場と基地が隣接する狭い島の中でのパラシュート降下は、重量物がいつ頭上に落ちてきてもおかしくない危険な訓練だ。

 96年にSACO(日米特別行動委員会)最終報告で、読谷村で実施されていた降下訓練が伊江島に移転された。以降、嘉手納基地などでの降下訓練などに対して日本政府は「伊江島で実施してもらうよう働きかける」との姿勢を示すなど、米軍の降下訓練が島に集約されてきた。普天間飛行場の名護市辺野古への移設と同様に、基地負担軽減の名目で、人口の少ない別の地域に負担をたらい回しにする構図がある。

 さらに対中国をにらみ在沖米軍が訓練を活発化させる中で、伊江島は「遠征前方基地作戦(EABO)」の訓練拠点に位置付けられ、訓練が激化する。パラシュート訓練もEABOの一環とみられる。

 EABOは離島に素早く部隊を展開して攻撃拠点を確保する作戦で、パラシュート部隊による偵察や上陸、航空機による物資補給が作戦の核となる。伊江島補助飛行場では強襲揚陸艦の甲板を模した「LHDデッキ」の拡張や滑走路の改修も完了し、F35Bステルス戦闘機やMV22オスプレイなどを使った実戦的訓練が実施される。

 監視の目が少ない伊江島で基地機能と訓練の強化が進められている。在沖米軍基地でのEABO訓練の増強は東アジアの緊張を高めるだけでなく、南西諸島の島々を戦闘に巻き込む想定は看過できない。重大事故につながるパラシュート訓練をはじめ、伊江島での訓練を縮小すべきだ。