知らず踏むとバチが当たる!?羽生結弦のフリープログラム『SEIMEI』ゆかりの「晴明石」が北鎌倉に

知らず踏むと罰(バチ)が当たる!フィギュアスケート・羽生結弦のフリープログラム「SEIMEI」安倍晴明ゆかりの「晴明(清明)石」が北鎌倉にあった。

平安時代の陰陽師(おんみょうじ)・安倍晴明はよく知られている。陰陽師とはかつて陰陽寮の属した官職で、陰陽五行に基づいた陰陽道によって占いなどを行う人のことである。晴明は鎌倉時代から明治時代の初頭まで陰陽寮を統括した安倍流土御門家の祖だ。

晴明は『今昔物語集』『宇治拾遺物語』『平家物語』など平安、中世文学にも登場。現代でも夢枕獏の『陰陽師』シリーズの主人公として人気のある人物で、過去何度も映像化され、狂言師・野村萬斎主演の映画『陰陽師』『陰陽師2』は大ヒットした。

だが、晴明の名前がさらに一般に広まったのは、冬季五輪2大会連続金メダルを獲得した羽生結弦が安倍晴明をモチーフにした「SEIMEI」の功績が大きいだろう。これは映画『陰陽師』のサウンドトラックを使用したこのプログラムで、能や狂言の動きを取り入れた振り付けだったことは記憶に新しい。

晴明の生誕地は現在、大阪市阿倍野区にある「安倍晴明神社」で、屋敷跡に建てられたのが京都・一条戻橋近くの「安倍晴明神社」と言われている。どちらかといえば関西地区になじみが深い人物だが、実は古都・鎌倉にもゆかりの場所が存在している。

鎌倉といっても小町通りなどで賑(にぎ)わっているJR鎌倉駅ではない。その場所は「建長寺」やあじさいで有名な「明月院」のあるJR北鎌倉駅からJR大船方面に戻った、山ノ内の小高い丘にある「八雲神社」である。北鎌倉駅から徒歩で向かったが、本当にこんな場所に神社があるとは思えない、閑静な住宅街の一角だった。

その「八雲神社」の社殿を背に、三段ほどの石段を登った右側に「晴明石」がある。今、この場所は立ち入り禁止となっているが、立て札もあり「晴明石」の存在ははっきりと分かる。

北鎌倉駅近くのお店でも聞いたのだが、この石には古くから伝承があるという。この石を知らずに踏むと足が丈夫になるが、わざと踏むと足が悪くなるなどの不幸に見舞われるというのだ。陰陽師は本来、厄災を振り払うのが仕事である。全国に散らばっている安倍晴明関連の場所で、災いもたらすという所は珍しい。

北鎌倉には、まだまだ安倍晴明関連の場所がある。「建長寺」門前の「大六天社」の入り口の左側には、なぜか「安倍晴明大神碑」が存在している。また、鎌倉街道とJR横須賀線の交差する場所にも「安倍晴明大神」と彫られた碑が建っている。晴明が北鎌倉に住んでいた証明ともいえるが実際はなぜ、これらの場所に晴明関連のものがあるのかは謎である。さすが実在しながら、神格化された人物らしいミステリーだ。

(デイリースポーツ・今野 良彦)

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