長崎・外海地区の道路規制 昨年と今年の大雨影響 住民ら不便な生活続く

大雨被害で片側交互通行となっている国道202号=長崎市赤首町

 長崎市外海地区の国道や林道で、復旧工事や通行規制が長く続いている。昨年夏の大雨や台風で、主要な道路の10カ所以上で路肩崩落などの被害が出たため。国の災害査定に時間を要し、ようやく復旧したものの今年8月の大雨で再び被害が出た箇所も。地域住民は不自由な生活を強いられている。
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 同地区では多くの道路で被害が発生しているが、住民にとって影響が大きいのが西彼杵半島西側の沿岸部を通る国道202号と、半島内側を走る森林基幹道西彼杵半島線だ。2つの道路では昨年、計12カ所で路肩崩落などが起き、一時、全面通行止めとなる箇所もあった。

 県長崎振興局によると、同地区の国道202号では昨年7~9月、赤首町から神浦口福町までの計6カ所で被害が発生。県は片側交互通行ができるように応急工事を施し、昨年末までに国の災害査定を終え、復旧工事に取り掛かった。来年3月までには、工事が終了した箇所から順次規制を解除する予定だった。
 ところが、2年連続の大雨被害に見舞われ目算が狂った。赤首町の現場は、6カ所の中で最も早く盛り土工事が完了。今年6月中旬に片側規制が解除されたものの、わずか2カ月後の8月、大雨で路肩が広範囲に崩落し、民家など計3棟が全壊した。幸いけが人はなかった。「表層雪崩が起きた跡のようだった」。関係者は振り返る。
 現場は1982年の長崎大水害の際にも「大規模に被災した箇所」(同振興局道路維持課)。ただ、それ以降は目立った被害は起きていなかった。現在は片側通行規制の状態。「生活になくてはならない道路。早期復旧に向け尽力したい」と県は来年度中の復旧を目指すが、具体的な時期は未定。
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 森林基幹道西彼杵半島線(林道)も昨年7月、計6カ所で路肩やのり面が崩れた。市北総合事務所によると、うち神浦下大中尾町の2カ所は現在も工事が続いており、付近は全面通行止めのまま。工事は国の補助事業で今年3月に始まり、来年1月中旬までに終える予定という。
 大きなダメージを受けた二つの主要な道路。住民の不便な生活が続く。迂回(うかい)するため狭い道路を通る住民も多く、対向車と離合できず、立ち往生する車の後ろに長い車列ができたこともあったという。
 地元の農業男性(72)は「時間がかかるのはやむを得ない」と諦め顔で話す。外海地区で自治会長を務める70代男性は「国道は片側が通れるのでありがたいが、交互に通す信号待ちが数カ所にあって不便。早めに修復してもらえれば」と求めている。

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