山口財務事務所が景気予測調査 今年に入り、3期続けてマイナス幅拡大

 財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果を、このほどまとめた。調査時点は8月15日で、今期(2021年7~9月)の現状、翌期(10~12月)の見通し、翌々期(2022年1~3月)の見通しについて山口県内116社に判断を求め、115社が回答した。内訳は、製造業が40社(34.8%)で、非製造業が75社(65.2%)。企業規模別では、大企業(資本金10億円以上)が27社(23.5%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が同じく27社(23.5%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が61社(53.0%)だ。

 まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は12.2%で、「下降」との回答は26.1%だった。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)はマイナス13.9ポイント。2004年の調査開始以来最悪の指数・マイナス52.5ポイントだった2020年4~6月期を底に、11.1ポイント(2020年7~9月期)、14.7ポイント(同年10~12月期)と回復傾向だったが、今年に入った2021年1~3月期(マイナス0.9ポイント)以降、4~6月期(マイナス9.8ポイント)、そして今期と3期続けてのマイナスで、その幅も拡大し続けている。業種別にみると、製造業は20.0ポイントのプラスだったが、逆に非製造業はマイナス32.0ポイント。規模別では、大企業は11.1ポイントのプラスで、中堅企業はマイナス25.9ポイント、中小企業はマイナス19.7ポイントだった。

 先行きについては、翌期は0.9ポイント、翌々期は7.0ポイントのプラスに転じる見通しだ。

 次に、2021年度の「売上高」(回答87社)は、前年度比16.1%の増収見込み。製造業は、食料品などで減収となるものの、石油・石炭、化学などの増収によって、19.2%の増収見込み。一方非製造業は、建設などで減収だが、卸売、運輸・郵便などで増収となり、0.6%の増収見込みとなっている。

 そして2021年度の「経常利益」(同87社)は、前年度比32.1%の増益見込み。製造業は、食料品などで減益となるものの、石油・石炭、情報通信機械などで増益となり、40.1%の増益見込み。逆に非製造業は、不動産などで増益となるものの、小売や建設などが減益で、全体としては13.1%の減益見込み。

 また、2021年度の「設備投資」(同99社)は、前年度比4.0%の増加見込み。製造業は、石油・石炭などで減少となるが、化学、窯業・土石などで増加となり、9.6%の増加見込み。非製造業は、建設などで増加するが、小売、鉱業・採石等で減少するため、31.4%の減少見込みだ。規模別にみると、大企業(4.0%)と中小企業(103.0%)は増加、中堅企業(マイナス10.3%)は減少の見込み。

 「雇用」の現状BSI(同106社)は、19.8ポイントの「不足気味」超。コロナ禍においても、翌期(20.8ポイント)、翌々期(17.0ポイント)とも「不足気味」超は続く見通しだ。

回答企業の声

 回答企業からは「情報通信向けの半導体需要が引き続き堅調となっており、半導体メーカーからの製品の引き合いがさらに高まっている」(化学)、「おみやげの売り上げが少しずつ回復傾向にあったものの、8月は感染の急拡大により各地で緊急事態宣言が発令された影響で、客足や売り上げが低下してきている」(小売)、「感染が急拡大している影響から、予定していた夏のイベント関連の広告のキャンセルが多くあり、広告収入が低迷してきている」(情報通信)、「環境対応車を含めた車載向けの電子部品が堅調な一方で、各種原材料価格の高騰や、自動車メーカーの減産の影響を懸念している」(情報通信機械)、「感染の状況や県のプレミアム宿泊券などの再開時期により予約状況が大きく変動するため、先が見通せない」(宿泊・飲食サービス)、「感染が急拡大する一方でワクチン接種も加速しているため、客足や売り上げが回復することを期待している」(娯楽)などの声が聞かれた。

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