韓国のケニア出身帰化ランナーに批判高まる 東京五輪で途中棄権後は帰国し自主トレ

厳しい暑さで棄権者が続出した東京五輪の男子マラソン(ロイター)

男子マラソンの韓国のケニア出身帰化ランナーが同国内で批判にさらされている。

韓国メディア「ニューシアン」は、ケニア出身の帰化選手で東京五輪に韓国代表として出場したオ・ジュハンを特集。東京五輪後に母国に帰国したが、指導者も付けずに自主トレを続けている現状を批判した。

「来年9月の中国杭州でのアジア大会で、東京五輪で途中棄権した〝不名誉〟を覆せるのか。現時点でその可能性は非常に低い。指導者なしで、ケニアで一人で訓練しているからだ。大韓体育会や陸上連盟など関係機関や所属チームが到底納得できない選手管理をしている」と糾弾した。

オはもともとマラソン韓国代表チーム監督だったオ・チャンソク氏に師事し、その勧めで韓国への帰化を決意した。韓国名で同じ姓を名乗るなど強固な師弟関係で結ばれていたが、5月にオ監督が急逝。五輪後も精神面の傷は癒えておらず、いったん母国に帰ってしばらくは指導者を付けることも拒んで自主トレーニングに励んでいる。

経緯を考えれば不自然な現状ではないが、韓国内では帰化選手としての期待からオに批判が向けられているようだ。

同メディアは「東京五輪での途中棄権も訓練の不足が原因だ」とバッサリ。さらに来年のアジア大会に向けても「韓国男子マラソンはアジア大会で7回優勝しているが、2010年以降は〝金脈〟が途切れている」とオに対しては金メダル獲得が至上命令になっており、ケニアで自主トレを続けていることが非難されているのだ。

ギム・ドンスン韓国陸上連盟事務局長は「いまオ・チャンソク監督のようにケニアに滞在してオを導ける韓国人コーチはいない。指導者を現地に派遣する案を講じなければ」と今後の見通しを語っているが、オと代表の間に溝が生まれつつあるようだ。

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