【木造駅舎カタログ】呉線005/55 仁方駅

※2020年8月撮影

トップ画像は、呉線仁方(にがた)駅。駅舎は、瓦屋根ではなく呉線では初めてのスレート葺き。郵便ポストと電話ボックスは並んでいます。プロポーションが良いので個人的には「瓦屋根の方が良いのになぁ」と勝手に思っています。

呉線下り列車を降りたら構内跨線橋がありません。いったん駅の外に出て公道の跨線橋で呉線の北側に行きます。その跨線橋から見おろしています。左の小さな屋根が仁方駅の南口。右に北口の木造駅舎が見えます。

※2020年8月撮影

仁方駅の構内跨線橋は老朽化で2018年(平成30年)末頃に解体撤去されました。南口は新設ではなくかつては木造駅舎もあった様です。

呉線は東西に走っています。朝なので東側は逆光です。順光西側の奥は呉駅、広島駅方面です。あの山の向こうは元帝国海軍軍港の呉です。右奥の谷の方に市街地がのびています。

※2020年8月撮影

跨線橋を渡って北側の駅前広場。木造駅舎の手前に窓の無い物置小屋でしょうか。

※2020年8月撮影

仁方駅は、1935年(昭和10年)開業。1946年(昭和21年)仁堀連絡船開設。日本国有鉄道が仁方駅近くの仁方港と四国松山の予讃線堀江駅近くの堀江港とを結ぶ鉄道連絡船(37.9km)を運航していたのです。

仁堀連絡船は、戦後の混乱期に宇高連絡船(宇野線宇野駅~高松駅)の補助航路として開設されました。しかし利用者が減少して1982年(昭和57年)に廃止。

仁方駅は1976年(昭和51年)貨物取扱廃止。国鉄分割民営化でJR西日本に移管された後、業務委託駅を経て2003年(平成15年)からは無人駅です。大きな駅舎がちょっともったいないですね。何か活用方法はないのでしょうか。

※2020年8月撮影

渡ってきた跨線橋が左に見えます。

※2020年8月撮影

駅出入口。駅名標にローマ字やひらがなの表記が無いのは呉線の木造駅舎に共通しています。

※2020年8月撮影

駅舎に手書きのポスターが掲示されています。「ありがとう! JR仁方駅 駅舎さよなら 令和2年7月」と書いてあります。撮影が2020年(令和2年)8月なので1ヶ月前です。しかし駅舎が無くなるのでしょうか?

※2020年8月撮影

2018年(平成30年)構内歩道橋撤去、下り線駅舎撤去、駅南口整備、と書かれているので構内跨線橋撤去と南口にあった木造駅舎の撤去のことです。冒頭の「駅舎さよなら」はこのことを指していたのですね。

※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。

(写真・文章/住田至朗)

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