【MLB】筒香嘉智は「投手の悪夢だ」 移籍後打率3割超“バットで語る男”を地元紙大絶賛

パイレーツ・筒香嘉智【写真:AP】

謙虚な言葉にも好感? 移籍後変身できたワケを分析

打線の中心に座るパイレーツ・筒香嘉智外野手へ地元の関心は高まる一方だ。地元紙「ピッツバーグ・トリビューンレビュー」が電子版で「ヨシ・ツツゴウは大きな数字を積み上げ、パイレーツで『投手の悪夢』であることを証明している」と題する記事を掲載している。

記事は「ヨシ・ツツゴウが口数の少ない男であるのか、通訳の中で抜けたのか、この日本のスラッガーは、8月中旬にパイレーツと契約してからの成功についてただ肩をすくめた」と書き出されている。4日(日本時間5日)に404フィート(約123.1メートル)の本塁打を打った時の「特に飛距離は意識してませんので、本塁打になったことは良かったかなと思います」というコメント、また14日(同15日)のレッズ戦で決勝打を打った時の「どの投手に関わらず打てると嬉しいですし、チームが勝てたのが何よりだと思います」という控えめなコメントを引用し、謙虚な姿を紹介している。

さらに「ツツゴウがバットに語らせることを好んでいるなら、パイレーツでの32試合を通しての彼の数字は、彼の穏やかな話し方を裏切るように大声で叫んでいる」とし、数字は雄弁にパイレーツでの存在感の大きさを物語っていると指摘する。移籍してきた8月16日(同17日)以降の打率は.314、OPSに至っては1.098で大リーグ5位だ。さらに得点圏では19打数10安打で打率.526、二塁打、三塁打、2本塁打で15打点を挙げている。(数字は22日=同23日現在)

筒香は大リーグ移籍2年目の今季をレイズでスタート、その後ドジャースに移籍したものの成績は上向かず、約2か月に及ぶマイナー暮らしも経験した。記事も「ツツゴウが来た時の評判は、彼が優れた速球についていけないというものだった」と振り返っている。ただスタットキャストによるデータも紹介され「昨年の速球に対する打率は.159だったが、今年は.239と向上した」。弱点をきっちりつぶしてきたことに、活躍の原因を求めている。

打席での爆発が、パイレーツに新たな“悩み”を引き起こす?

シェルトン監督は「彼はメジャーでの経験はそれほど多くないが、プロとしてはかなりの経験を積んできている」と言い、同僚ケブライアン・ヘイズは「両方向にパワーがある。ただのプルヒッターじゃない。彼は打ち方を知っている」と言う。DeNA時代のような、高打率と長打力を両立できる打撃をついに見せ始めたところだ。特に代打では打率.625、2二塁打、3本塁打、5打点と驚きの打率を誇る。

ただ、筒香の大爆発は、パイレーツにとって少し困った事態も引き起こしている。記事は「ツツゴウの短期間における成功の欠点は、彼自身をFA市場で魅力的なものにしているという点だ」と言及した。特に来季以降、ナ・リーグでもDH制が導入された場合にはさらに市場価値が上がるといい、スモールマーケットのパイレーツにとっては、契約延長が難しい場合もあり得る。

パイレーツのチェリントンGMは来期以降の契約について「まだツツゴウと話をしておらず、そういう話をするのはシーズンが終わってからにするつもりである」としており、さらに「彼は間違いなく素晴らしい印象を残しているよ。非常にいいスイングをしている」と高い評価を与えているという。

記事は最後に、読者に向け「ヨシ・ツツゴウは2022年もパイレーツに戻ってくると思うか?」というアンケートを展開しており、6割が「イエス」と回答。ついに米国でも持ち前の強打を発揮し始めたスラッガーは、今後どういう選択をするだろうか。(Full-Count編集部)

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