株式会社スノーピーク(新潟県三条市)が三条市立大学に寄付講座を開設

株式会社スノーピークの山井太代表取締役会長(写真左)と、三条市立大学のアハメド・シャハリアル学長(写真右)

株式会社スノーピーク(新潟県三条市)は24日、三条市立大学にて寄付講座を開設することを発表した。この講座は同学の特徴の1つである産学連携学習に、スノーピークの「自然指向のライフバリュー」を基軸とした教育・研究を掛け合わせたもので、同学のアハメド・シャハリアル学長は「(大学が元々考えていた教育目標である)『創造性豊かなテクノロジスト』へ、さらに付加価値を与える、非常に価値のある取り組みになる」と語る。

今年開校した三条市立大学は、各学年の秋学期に燕三条企業への見学や研修を体験することで、大学で学んだ学術的な知識を実用化する経験を積む、産学連携の学習が特徴の1つである。特に、3年・4年時の秋学期には企業への長期実習や共同研究・商品開発を実施するが、今回発表された「イノベーションを創出するビジネスリーダー養成講座」は、この3・4年時期にコースの1つとして選択可能になる。

今回発表された講座の理念について説明するシャハリアル学長

詳細な学習内容については今後決められていくが、スノーピークへの実習を通して、同社の指向する「野遊びの哲学」の上に立った価値創造や、「社員もユーザー」である同社の商品開発、またあるいはデータサイエンスなどの学びを生徒へ提供し、新たなビジネスを創出して地域の持続可能性に繋げるリーダーを養成することが目的であるという。

また4年時の共同研究・商品開発についてシャハリアル学長は、「単なる商品開発の為の自然志向ではなく『新しい価値』をつくり、結果として、新たなマーケットをつくる、というぐらいスケールが大きいことをしないと、スノーピークと連携する意味がない」と話す。そして「ワンランク上のことをするために、(スノーピークという)ワンランク上の企業と連携し、その中で育った生徒たちが次世代を牽引するようになると考えている」と意気込んだ。

また山井太代表取締役会長も「今回、講座の中心に『野遊び』を置いた。例えばシリコンバレーのスタートアップが世界を変えたように、『自然を通じた人生価値の向上』をテクノロジーと結びつけたこの講座を受けた学生が、10年後20年後、世の中を変えるような存在としてこの燕三条から輩出されてほしい」と期待を込めた。

スノーピークは近年、キャンプ用品の開発だけでなく地方創生など事業も積極的に展開し、また7月に開催した「エキスポ」は、製品を通じて地域や自然の持続可能性、あるいは社会と人間性の関係について思考する内容となっていた。経済や社会への価値観が転換しつつあるなかで、同社から得られるエッセンスが学生たちへ大きな刺激を与えることは間違いないだろう。

寄付講座にかかる協定締結の様子

協定締結式の様子

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