再エネ「恫喝」推進と河野一族|奈良林直

「河野総理」になれば日本は衰退する、いや国が滅ぶ危険性がある。立場の弱い官僚を恫喝して、日本の産業を破壊するような再生可能エネルギー「最優先」政策を推し進める背景には何があるのか。中国を利する行動の裏側に見え隠れする河野一族の思惑。

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脱原発を封印などしていない

2021年8月24日(火)オンライン会議にて資源エネルギー庁(エネ庁)が河野太郎行革担当大臣に説明した際、河野大臣が行った「恫喝」発言の音声データが関係者から送られてきたので、内容を確認してみた。(現在は「文春オンライン」公式チャンネルにて公開されているため誰でも視聴が可能https://www.youtube.com/watch?v=r7mhGqYjdWI

河野太郎氏は9月10日、自民党総裁選出馬表明の記者会見やその後の討論会で、脱原発に関する質問に対し、「(原子力発電所の)安全性を確認して使えるものは再稼働して使っていく」と答えているが、この「恫喝」音声の内容を分析する限り、河野氏は「脱原発を封印」など全くしてないと断言できる。あまりにも酷い「恫喝」音声の内容を以下、順をおって解説する。

【1】再生可能エネルギーの変動をバックアップする火力発電所の待機運転を促す容量市場について

容量市場とは、電力不足に備えて、電力不足を回避するための火力発電所などの供給力を確保する仕組みを指す。いわば再エネが増えた時に大停電を発生させないための仕組みと言える。

エネ庁:容量市場について凍結をする、あるいはその文章を全部削除しろというのは大変恐縮でございますが、私どもとしては受け入れることができません。

河野大臣:じゃあ、こっちは受け入れられない! はい、次。

エネ庁:ただ、大臣、どのような制度であっても完璧はございませんので、効率的なものとなるよう不断の見直しを行うという修文をさせていただきます。

河野大臣:分ったよ!分かったけどこっちは受け入れられないから、次行って、時間ないから。

原子力に限らず発電所建設には長いリードタイム(工程に着手してから全ての工程が完成するまでの所要期間)を要するため、長期の投資回収を予見しやすくして投資を促す仕組みとして必要であり、既にイギリス、フランス、アメリカで実績が認められている制度である。これを否定する河野氏は、電力の需給バランスを確保して停電を防ぐという極めて重要な対策を否定しているのだから、我が国の基幹エネルギーである電力を極めて脆弱にする。(容量市場について詳しくは電力広域的運営推進機関(OCCTO)のHPに記載されているので参照して頂きたいhttps://www.occto.or.jp/market-board/market/

容量市場の役割

【2】原子力について「必要な規模を持続的に活用」を修文(削除)しろと要求

エネ庁:それからですね、原子力全体についてでございます。これについては特に18ページをご覧下さい。18ページは必要な規模を持続的に活用というところ、これを修文いただいておりますけども、これについての修文は梶山大臣ともご相談しましたが、応じられないということでございます。

河野大臣:はい、じゃあこっちも応じられない。はい、次。

2050年までに実質的な二酸化炭素の排出量をゼロにするカーボンニュートラル(CN)を達成するには、原子力発電所の必要な規模を持続的に活用する以外の解決方法はない。

気象によって電気出力が変動する再生可能エネルギーで電力を100%賄うことは、技術的にも経済的にも成立の見込みが立っておらず、世界でもそのような国は未だ存在しない。仮に再生可能エネルギーを主電源化するにしても補完電源(バックアップ電源)が一定の割合で必要なのは、現実の政策として自明である。

エネルギーは複数の供給源を組み合わせてリスクヘッジを行い、セキュリティを確保すべきものであって、これは米国や送電系統で結ばれた西欧諸国などでも取られている戦略である。このような常識的なことは経済産業省は当然調べ尽くしており、梶山経済産業大臣が認める訳がない。もし仮に河野太郎氏が首相になれば、全く実現性のない「再生可能エネルギー優先政策」が強引に進められることになり、我が国は大停電を繰り返す恐れが極めて高い。経済も破綻するだろう。

【3】再生可能エネルギーの比率目標。(河野大臣は従来22~24%だったものを36~38%に上げたが、さらに38%以上にしろと要求)

エネ庁:行政機関として責任を持って対応するという点で原案のままにさせていただきたい……

河野大臣:いやいや、行政機関じゃなく政府がやるんだ、閣議決定だから。

エネ庁:あの、原案をですね……

河野大臣:閣議が狂言じゃないんだったら、日本語では、36~38%以上というのが日本語だろ。

エネ庁:えっとですね、政策的な裏付けを積み上げてですね、

河野大臣:だから36~38以上だろ。

エネ庁:いや、積み上げて36~38程度……

河野大臣:積み上げて36~38になるんだったら、以上は36~38を含むじゃないか。日本語わかるやつ出せよ、じゃあ!

エネ庁:ええと、程度ということでここまでのところを積み上げてやって参りましたので……

河野大臣:だからこれが上限やキャップではないということは日本語で36~38以上と書くんだよ。

エネ庁:えっとですね、それは上限やキャップでないので、実際にそれ以上の数字が見込んでくれば、他のものの水準について調整をして引き下げるということがあるということを、別書きで、いま一番右側にございますけど、書かせていただいてありますので、それをもってですね、私どもとしては、内閣府のご意見を反映させたとしたい。

河野大臣:はい、だめ、次、はい次。

河野氏が主張する36~38%以上だが、「日本語」の常識としてエネ庁は36~38%の範囲を「程度」としている。これに対し、「38%以上と書け」というのは、河野大臣が38%以上の再生可能エネルギー比率の上乗せを強引に要求しているだけであって、「算数」の常識として、38%以上は、38%未満を含まないことは明らかである。

第6次エネルギー基本計画の再エネ比率の増加

そもそも、ドイツは再生可能エネルギー比率が40%を超えつつある。しかし、1kWhの電気を得るのに排出する二酸化炭素の質量(排出係数(CO2-g/kWh))が472gと日本の570gと大差がない。下の図に示すように、この排出係数の上位は、水力発電と原子力発電を主軸とする国ばかりである。河野大臣が、いくら再生可能エネルギー優先で38%以上にしろと要求しても、40%以上のドイツでさえ、CO2はほとんど減っていない。いわば排出係数劣等国であるという事実を直視すべきである。

【4】再生可能エネルギーの課題を全部削除しろ。原発への核ミサイル攻撃どうすんだい!

河野大臣:それからなんかいらねえけどさ、日本が再エネいれるのに不利だ。みてえな記載がいっぱいあっただろ、あれ全部おとしたんだろうな!

エネ庁:日本が置かれた自然状況につきましては15ページ、17ページのところですけども、これは事実関係を書いたものでございますので……えーと。

河野大臣:じゃあ、北朝鮮のミサイル攻撃に無防備だと原子力は。日本は核燃料、使用済み燃料を捨てる場所も狭くてありませんと、全部書けよ!

エネ庁:ええとですね、

河野大臣:全部書けよ!

エネ庁:いただいたご意見を踏まえた上でですね、例えば再エネについて不利なことばかり書いているというご指摘だったので……。

河野大臣:石炭は日本の国のなかじゃ採れませんと、天然ガスも採れませんと全部書いたらどうだ、エネルギー一個一個に!

エネ庁:えっとですね、一個一個にはさすがに書いてないんですけど……。

河野大臣:じゃあなんで、そんな再エネだけあれするんだ! 再エネ最優先と言っているのに。

エネ庁:あの、えっと、あくまでもですね……

河野大臣:使用済み核燃料が危ねえのは、もう自明の理じゃねえか、おめえ、北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい、テロリストの攻撃受けたらどうすんだい、今の原発。

エネ庁:ええ、あの……

河野大臣;そんな恣意的な記載を認めるわけねえだろうが! いい加減にしろよ!!

河野太郎氏が防衛大臣時代にイージスアショアを破棄したことで、北朝鮮の核ミサイルの攻撃を迎撃ミサイルで防ぐことを不能にしたことは周知のとおりだ。原発への核ミサイル攻撃の脅しは、原発反対派の常套句である。河野大臣の頭の中は反原発派と全く同一。田中俊一原子力規制委員長(当時)でさえ、核ミサイルはピンポイントの原発を狙うより大都市の上空で爆発させた方がよほど被害が大きいと国会で野党の質問に回答している。イージスアショアを防衛大臣として独断で潰しておいて、「おめえ、北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい!」と恫喝しているのは、まさに反原発大臣以外の何物でもない。

「使用済み核燃料が危ねえのは、もう自明の理じゃねえか、おめえ、北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい、テロリストの攻撃受けたらどうすんだい、今の原発。」という恫喝の言葉を、そのまま河野氏にお返ししたい。こう言って。

「イージスアショアの迎撃ミサイル配備をやめさせたのは、おめえだ。北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい。敵基地攻撃を昭和の発想と片付けたけど、迎撃できなくしたから必要なんだろ。どうすんだい」と。

米国のロッキード・マーティン社のテスト施設内にあるSPY-1レーダを備えたイージスアショアの上部構造(本体は地下)。ドアの大きさから大きな施設であることが窺える。

第二の河野談話

原子力発電所からのエネルギー供給は気象にも左右されない、最も安定したエネルギー源である。敵基地無力化とイージスアショアの迎撃ミサイルの配備が必須である。

各原発には特定重大事故対処施設が地下のバンカーに設置され、航空機テロに対して備えをしている。公益財団法人国家基本問題研究所ではさらに洋上風車やワイヤーフェンスによる航空機テロ、ミサイル攻撃対策を提案している。ミサイルがワイヤーフェンスにぶつかれば、そこで爆発するか起爆装置が破壊されるため原発本体への直撃は防止できる。

河野氏は2017年2月に東京で開催された「日米原子力協定と日本のプルトニウム政策国際会議」に反原発団体や立憲民主党の議員らと共に出席している。会議では「日米原子力協定自動延長阻止と六ヶ所再処理工場運転開始阻止、それによる原発運転阻止をめざす」との大会宣言が出された。

2017年9月には訪米団が派遣され、日本のプルトニウム蓄積に国際的懸念があると訴えた。それをNHKが同年10月30日の「クローズアップ現代+」で「〝プルトニウム大国〟日本~世界で広がる懸念~」と題して報道。米国の有力者の大きな声を利用して日本政府に圧力をかけることを「ワシントン拡声器」と呼ぶが、NHKの報道は当時の安倍政権に圧力をかけたとの見方が強い。

問題は、当時外相だった河野氏が、何ら指摘されてもいないのに、国際原子力機関(IAEA)に対して、「日本はプルトニウムを減らす」と宣言してしまったことにある。これは、河野氏の父親・河野洋平氏が官房長官時代の1993年に戦時中の慰安婦問題で出して禍根を残した「河野談話」に匹敵する「第二の河野談話」と言わざるを得ない。

再処理施設を運転させないと、使用済み燃料の減容は不可能になり、使用済み燃料をキャスクという金属容器に入れてそのまま埋設する「直接処分」となって、埋める場所が4倍必要になる。だから再処理工場の運転は必須なのだ。

直接処分では、10万年の埋設処分が必要で、万一キャスクが損傷した場合は、回収を要求する動きもある。一方、再処理施設で、高レベル廃棄物を分離してガラスに溶かしてステンレス容器に流し込んで固化したガラス固化体は、数千年の保管に短縮され、直接処分の4分の1の容積の処分場で済む。繰り返すが、国土が狭い日本に再処理施設は必須なのだ。

有害度が高い高レベル廃棄物を高速炉で燃焼させ、半減期の短い有害度が低い元素に変えることにより、保管期間を約300年に大幅短縮できる。このことはすでに米国の試験で実証されている。さらに現在、米国のGE日立ニュークリア・エナジーがPRISMという小型モジュール炉(SMR)を提案している。PRISMを使えば、プルトニウムを消費しながら高レベル廃棄物の保管期間を300年に短縮できる。

河野氏が自民党総裁選候補の記者会見で公約した「温もり」など微塵も感じない恫喝。こんな亡国の道を恣意的に進める河野氏が総理総裁の椅子に座ることは日本国にとって極めて危険だと言わざるを得ない。専制横暴政治が始まってしまう。

中国の報道官と笑顔の自撮り、胸には「天安門」のバッヂ

国家基本問題研究所企画委員兼研究員・福井県立大学教授の島田洋一先生がFacebookにアップされた河野太郎氏がツイッターで自慢するツーショットの写真の右側の女性は中国共産党の華春瑩報道官。この写真をよく見ると、河野太郎氏の胸に燦然と輝くバッチは、中国共産党のメッカ「天安門」のバッチだ。

今年7月1日の中国共産党創建100周年記念式典では、天安門の楼上に習氏や最高指導部メンバーが姿を現した。スーツ姿の最高幹部たちの中で、習氏だけが灰色の人民服を着ている。習氏の足元、天安門に掲げられた建国の父・毛沢東氏の巨大な肖像画と同じ格好で「習氏が毛氏と並び立つ指導者だ」と印象づけた巨大な舞台となった場所なのだ。その天安門を描いたバッチを河野氏は胸にして、中国共産党の女性報道官とツーショット写真をセルフィー(自撮り)と自慢して公表している。

中国共産党からは拍手喝采されるであろう。彼が自民党総裁になったら、自民党の本丸は中国共産党の手に落ちてしまうと懸念するのは私だけであろうか。

下の画像は、9月19日の産経新聞に掲載された国基研の「自民党総裁候補四氏に問う 国を守る覚悟を示せ」と題した意見広告である。5.に注目していただきたい。

再処理ができなければ、ガラス固化体の地層処分も白紙にされてしまう。完成直前の六カ所の再処理施設や、寿都町・神恵内村のご努力も破壊されてしまう。

また、イージスアショアが無くなって喜んだのは中国と北朝鮮であろう。日本国民を守ることと、農家の納屋に落ちるかもしれないミサイルのブースターのドンガラの心配と全く次元の異なる話だ。
他の設問も含め、河野氏は全てに否定的だ。ちなみに設問に全て「Yes」は高市早苗氏だけである。

日本端子株式会社を巡る問題

この原稿を書いているとき、ネット上でジャーナリストの門田隆将氏はじめ、多くの人々が指摘し始めたのが、日本端子株式会社を巡る問題だ。日本端子は、電気ケーブルの圧着端子やコネクタなどの部品の製造大手。大株主には河野太郎氏の父親・河野洋平氏がおり、現在の社長は河野太郎氏の弟の河野二郎氏。河野家のファミリー企業といえる。

この日本端子株式会社は中国に3工場があり、製品は中国が生産する格安の太陽光パネルのケーブルのコネクタとして多量に使われている。中国では非常に優遇されている企業であるとの指摘もある。企業概要や決算公告の官報には社長名や売り上げが記載され、社長や役職名に河野洋平氏や河野二郎氏が記載されていることが確認できる。河野太郎氏の政治資金にも、日本端子からの寄附金が継続されてきた。

中国での太陽光パネルの製造については、新疆ウイグル族の強制労働により人件費を抑制して格安のパネルが製造されていることなどを理由に欧米の批判を浴び、米国は、中国産の太陽光パネルの輸入を禁止した。日本では、太陽光詐欺企業の片棒を担いだと批判されている小泉一族(詳細は拙稿「太陽光発電の闇と小泉一族」を参照)と、中国産の太陽光パネルの大量製造で利益をあげる河野一族が「再エネ最優先」を声高に主張している。
(「太陽光発電の闇と小泉一族」https://hanada-plus.jp/articles/789

河野太郎氏を先頭に立って支援する小泉進次郎環境大臣は、「(原発推進の)高市早苗氏と徹底的に戦う」と宣言した。だが、産経新聞(2021年8月5日)が報じているように、発電コストは事業用の太陽光発電が最も高いのが現実だ。

2021年8月5日付産経新聞

日本の産業界を潰し中国を利する行動ばかりをとる河野氏と小泉氏。彼らが日本のかじ取りを担えば間違いなくこの国は衰退の道を辿るだろう。衰退どころか国が滅ぶ危険性がある。

奈良林直