REITっていったい何?不動産投資信託の基礎知識から種類、選び方まで解説!

年金の不安解消や「FIRE」(経済的自立と早期リタイア)の達成のために、不労所得が注目されています。不労所得の代表といえば、不動産投資。大家さんになって受け取る家賃は、まさに不労所得です。とはいえ、いきなり不動産投資をしろと言われても、お金も知識もなければ難しいですよね。

しかし、そんな方でも「REIT」(リート・不動産投資信託)を使えば、気軽に不動産に投資できます。今回は、REITの基本から種類、選び方まで解説します。


REITは不動産に投資する投資信託

REITは、不動産に投資する投資信託です。投資信託は、投資家から預かったお金をファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用してくれる商品。投資信託の投資先はさまざまで、商品ごとに違います。そのうち、不動産に投資する商品のことを特にREITと呼んでいます。

REITは、多くの投資家から集めた資金でオフィスビル・商業施設・物流施設・ホテル・リゾートなどの不動産を購入し管理します。そして、管理している不動産を貸すことで賃貸収入を得たり、売却したりすることで売買益を得たりします。そうして得られた利益からコストを差し引いたお金を、投資額に応じて投資家に分配します。

REITのしくみ

REITにはどんな種類がある?

2021年9月25日時点で、東京証券取引所(東証)に上場しているREIT(J-REIT)は62銘柄あります。これらのREITは、大きく「単一用途特化型」と「複数用途型」に分けることができます。

単一用途特化型は、特定の用途の不動産に投資するREITです。オフィスビル特化型、商業施設特化型、住居特化型、物流施設特化型、ホテル特化型という具合に、1つの用途の不動産に投資します。複数用途型よりも値動きが大きいのが特徴です。

対する複数用途型は、2つ以上の用途の不動産に投資するREITです。「オフィスと商業施設」「物流施設と商業施設」という具合に、2つの用途の不動産に投資するREITを複合型、「オフィスと住居と商業施設」などと、3つ以上の用途の不動産に投資する(または、用途を限定せずさまざまな不動産に投資する)REITを総合型といいます。
単一用途特化型よりも幅広い物件に投資できるので、分散投資の効果がより得やすいのが特徴です。

3つあるREITの買い方をチェック

REITの買い方には大きく3つあります。

REITの3つの買い方の違い

REITの買い方1:個別のREITを買う

すでに紹介したとおり、REITは証券取引所に上場しています。ですから、株式投資と同じ要領で売買できます。通常、株式投資は100株単位で取引されますが、REITは1口単位ですので、証券会社のウェブサイトに記載されている程度の金額で売買できます。
2021年8月30日時点では、おおよそ2万円~80万円と幅がありますが、全体の6割ほどのREITは20万円未満で購入できます。

REITの買い方2:REITファンドを買う

REITファンドは複数のREITに投資する「ファンド・オブ・ファンズ」と呼ばれる投資信託です。REITファンドを1本買えば、複数のREITにまとめて投資したのと同様の効果を得ることができます。なかには、海外のREITも組み入れているものもあります。
REITファンドは、金融機関によっては100円程度の少額から購入可能。証券会社だけでなく、銀行でも扱っている場合があります。

REITの買い方3:REIT ETFを買う

ETF(上場投資信託)は、株式投資と同じ要領で売買できる投資信託。ETFの中には、REITの指数(インデックス)に連動する「REIT ETF」があります。これを買うことでもREITに投資できます。
REITの代表的な指数には、「東証REIT指数」があります。東証REIT指数は、東証に上場しているすべてのREITを対象にした指数です。ですから、REIT ETFを購入すれば、J-REIT市場全体にまとめて投資したのと同じような効果が期待できます。

すでに投資したい不動産が決まっているのであれば、個別のREITを買うのがいいでしょう。

単一用途特化型であれば、市場の需要を見極めて購入することが大切です。

たとえば近年、ネットショッピングや通販などの普及により、物流量が増加しています。物流施設の需要が高まることから、物流施設特化型は堅調でしょう。
しかし、いまだ収束を見せないコロナの影響を考えると、オフィスビル特化型は現状厳しいでしょう。今後も第2、第3の疫病が流行る可能性もないとはいえませんし、世界的にもリモートワークが進んでいるので、オフィス需要は右肩上がりで成長しないことに注意が必要です。

セクター別の動向を見るには「東証REITオフィス指数」「東証REIT住宅指数」「東証REIT商業・物流等指数」も参考になります。いずれも、東京証券取引所のウェブサイトで確認できます。

資金に余裕があるなら、自分で複数のREITを組み合わせて購入することで、分散投資ができます。

資金に余裕がないなどを理由に個別のREITを自分で選べないという場合には、REITファンドやREIT ETFがおすすめ。個別のREITを購入するよりも分散投資の効果を幅広く受けることができます。ただし、REITファンドやREIT ETFは購入時に手数料がかかる場合がある(金額は金融機関により異なります)だけでなく、保有中にも信託報酬と呼ばれる手数料が日々少しずつ差し引かれていく点は覚えておきましょう。

REITに投資する5つのメリット

REITのメリット1:少額から投資できる

自分で直接マンションやアパートなどの不動産を買おうとしたら、最低でも数百万円~数千万円単位のお金がかかります。もちろん、銀行からお金を借りることもできますが、当然返済していかなければなりません。その点REITならば、数万円~数十万円で購入できます。

REITのメリット2:分散投資できる

自分で不動産をたくさん買うことでも分散投資はできますが、多額の資金が必要になります。しかしREITは投資信託ですから、複数の不動産に投資しています。つまり、1本買うだけで簡単に分散投資ができるのです。

REITのメリット3:入居者探しや物件管理の必要がない

自分で直接不動産を買って大家さんになっても、入居者がいなければ家賃収入は得られません。また、購入した物件を整備・管理するにも時間とお金がかかります。でもREITならば、そうした運営はすべてREITが行ってくれるので、手間がかかりません。

REITのメリット4:利益が安定している

分散投資をしているREITならば、少々景気が変動したからといって、急に入居者がゼロになることは考えにくいでしょう。仮に多少空室が生まれても、分散投資のおかげで収入が安定しやすいのです。また、REITは、利益の90%超を分配金として投資家に分配すると、税金(法人税)が免除されるルール。税引前の利益を分配するため、分配金が比較的高めです。

REITのメリット5:いつでも売却可能

自分で買った不動産を売却するのは時間や手間がかかり大変です。すぐに買い手が見つかればいいのですが、そうでない場合、見つかるまでずっと買い手を探さなければなりません。一方、REITは株式市場に上場しているため、株と同じ要領で購入・売却できます。いざというときの換金のしやすさは、REITのほうがずっと高いのです。

REITが向いているのはどんな人?

REITは「不動産に投資したいが、資金がない」「ローンを組むのは嫌(または信用力がない)」という方におすすめ。REITを利用すれば、自分で直接不動産を購入するよりもずっと気軽に不動産投資ができます。

また、他の投資をしている方が、さらに分散投資を進めたいという際にもREITは向いています。

ただ、REITの値動きは株や株式投資信託などとやや似ています。特に2020年3月に発生した「コロナショック」のときには、株が値下がりするのに合わせて、投資信託もREITも下落しました。これでは、あまり分散投資の効果が高いとはいえません。

これから投資をスタートするならば、つみたてNISAやiDeCoといった、税制メリットが受けられる制度を優先して使うべきでしょう。しかし、つみたてNISAではそもそも個別のREIT、REITファンド、REIT ETFは購入できません。つみたてNISAでREITに投資したい場合はREITが含まれるバランス型の投資信託を選ぶことになります。
iDeCoでは個別のREITとREIT ETFに投資はできませんが、REITファンドに投資することは可能です。

しかしながら、REITの値動きが株と似ていることを考えると、基本的には、つみたてNISAやiDeCoで買うのは株式型に投資するのがいいでしょう。もしくは少しでも分散効果を高める意図でバランス型という選択になるかと思います。

つみたてNISAやiDeCoをフル活用したうえで、さらに投資する余力があるという場合に、個別のREITやREIT ETFを活用するといいでしょう。手数料と投資金額を抑えて、幅広く分散投資をするならば、REIT ETFを活用するのがおすすめです。

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