東武スカイツリーラインの「浅草駅」から徒歩30秒。雷門や浅草寺にも極めて近く、浅草の入り口とも言える場所に位置する「浅草東武ホテル」がまもなく開業1周年を迎えます。その目玉として用意されたのがこのお部屋、本格運転シミュレータールーム。
東武鉄道全面協力のもと、運転士の習熟訓練用として使用されていた「実物」の運転シミュレーターを移設。駅名標や鉄道模型、ヘッドマーク、路線図、車両写真パネルなどで室内を装飾し、本格的なコンセプトルームに仕立てられました。
移設された「実物」の運転シミュレーター
コンセプトルームに移設されたシミュレーターがこちら。東上線へのATC導入(2015年)に伴い、2013年ごろから2021年8月ごろまで志木乗務管区で使用されていたものです。現在も森林公園乗務管区などでは同型のものが使われています。
シミュレーターの運転台は東京メトロ副都心線直通車両として投入された「東武50070型」のもの。運転できる区間は東武東上線(池袋~小川町間 上下線)で、普通/急行の2種別から選択することができます。出発駅や番線の設定、閉そく区間ごとのATC制限速度、先行列車なども設定可能です。
実際に動かしてみると……
マスコンキーを「地下鉄・東武」側に回し、マスコンハンドルを握りしめ、ガコガコ音を立てながら倒していきます。出発前には「戸閉知らせ灯」の確認も怠りなく。
走行中にハンドルから手を放してしまうと「デッドマン装置」が作動しますので、運転中はずっと握ったまま。あとは許容最高速度を越えないようにマスコンハンドルを戻したりしながら、停車駅の前でブレーキをかけて減速。停止位置を越えないように……
……と文章で書くのは簡単ですが、これがなかなか難しい。記者は運転士ではありませんし、こうした訓練を受けたこともなければ鉄道運転系のゲームも見る専。実物は手に負えません。運転士の才能はなかったようです。
でも利用者は「50070型の運転方法なら知ってますよ」という濃いファンばかりではないはず。家族でのご利用も想定される鉄道シミュレータールームですから、子供でも楽しめるようにマニュアルが用意されています。今回見せていただいたのは製作中のものですが、写真と丁寧な解説のおかげで誰でも操作できそうです。
やはり「実物」は引きが強い?
「東武鉄道運転シミュレータールーム」が発表されたのは2021年9月15日。新聞や鉄道系メディアなどで報じられてからおよそ1週間ほど経ちました。その間の反響についてお伺いしたところ、好意的な反応が多く、1日数件ほど電話で問い合わせをいただいているそうです。やはり「実際に運転士さんが訓練で使っていた」ものに触れるというのは引きが強いのかもしれません。
細かいこだわりポイントとしては、シミュレータールーム用の椅子も訓練用の実物。座り心地の良いゲーミングチェアなどを導入することも検討されたそうですが、「実際に使われたものの方がファンの方に喜んでいただけるのではないか」ということでこちらに。
また正面のモニターに映し出される景色は、かつての東上線沿線をCGで再現したもので、沿線にお住まいの方や通勤でお使いの方には見知った景色かもしれません(もっとも、東上線は池袋と埼玉を結ぶ路線であり、浅草を起点とする路線は伊勢崎線なのですが)。
予約は10月1日から、最初のひと月はデイユースプランで
浅草東武ホテル開業1周年記念で誕生した「東武鉄道運転シミュレータールーム」、利用は1周年当日の10月8日からで、11月4日まではチェックイン13時/チェックアウト17時の「デイユースプラン」のみでの提供となります。
第1期(10月8日~10月14日)の予約は10月1日12時から。11月から始まる宿泊プランの詳細は、同ホテルのホームページへ掲載予定です。
記事:一橋正浩