謎解き街歩き「水野勝成と失われた設計図」 〜 福山城築城400年を記念した福山についてわかるイベント(令和3年7月24日〜11月7日開催)

JR福山駅のホームから北を見ると福山城の天守がそびえています。

福山城は、まさに福山市のシンボル。
実は、福山城は令和4年(2022年)で築城400年を迎えます。

築城400年に向けてさまざまなイベントが開催されていますが、子供から大人まで楽しめる注目のイベントがあるのです。

それが『謎解き街歩き「水野勝成と失われた設計図 〜謎を解き、福山城を完成させよ〜」 (以下、水野勝成と失われた設計図)』。

福山城の歴史がわかり、かつての城下町を歩きながら謎解きを楽しめる街歩きイベントです。

そこで「水野勝成と失われた設計図」のイベント概要や福山城の魅力などを紹介します。

また実際に「水野勝成と失われた設計図」に、備後とことこ公式サポーターの『福山あいどるくらぶ』が挑戦しました。
そのようすもリポートします!

「水野勝成と失われた設計図」は福山城築城400年を記念するイベント

謎解き街歩き「水野勝成と失われた設計図」は、令和3年(2021年)7月24日から11月7日まで福山市中心部で開かれているイベントです。

江戸時代初期の元和8年(1622年)8月28日、福山城を築城した水野勝成(みずの かつなり)が江戸幕府に城の完成を報告しました。

つまり令和4年(2022年)8月28日、福山城築城からちょうど400年を迎えます。

謎解き街歩き「水野勝成と失われた設計図」は、築城400年を記念して開催されているイベントのひとつです。

現在の福山市中心市街地は、江戸時代の福山城下が元になっています。

かつての福山城下周辺を歩きながら、水野勝成などの福山城に関わる人物にゆかりのあるスポットを巡り、与えられた謎を解いていくイベントです。

自分たちが暮らす福山の街を楽しくめぐりながら、福山城の歴史を学べます。

なお「水野勝成と失われた設計図」は、福山城築城400年の応援サポーターである人気ゲーム『信長の野望』とコラボレーションしている点も注目です。

福山城について

福山城 天守 (平成24年撮影)

福山城は、JR福山駅のすぐ北側に天守がそびえている城です。

厳密には現在福山駅のあるところも、駅の南側周辺も城の範囲内でした。

関ヶ原の合戦が終わって徳川幕府が開かれると、現在の福山市は、広島城を拠点とした福島正則(ふくしま まさのり)の領地になります。

しかし短期間で福島氏は領地替えされ、元和5年(1619年)に現在の福山市周辺を領地とする大名として、徳川家康の従兄弟・水野勝成が治めることになります。

水野勝成像(福山城公園)

当時、現在の福山市周辺では神辺城(現 福山市神辺町吉野山)がありましたが、新たな拠点となる城を建てることを計画し、元和6年(1620年)に着工しました。

そして元和8年(1622年)8月28日に完成したのが、福山城です。

正式名称は「鉄覆山(てつおうざん) 朱雀院(すざくいん) 久松城(ひさまつじょう)」とされ、「葦陽城(いようじょう)」の別名もあります。

江戸時代、幕府は「一国一城」という原則を決めたため、福山城は江戸時代に入って大きな城が建てられた数少ない例でした。

その後近代になり、第2次世界大戦の福山空襲で福山城は天守を含む大部分が焼失します。

しかし戦後の昭和41年(1966年)、鉄筋コンクリートによって天守が再建されました。

以降は「福山城博物館」として福山を代表する観光スポットのひとつになっています。

令和3年、工事中の福山城 天守

なお福山城の天守は、築城400年に向けた大規模な工事のまっただ中です。

福山城の天守は、かつて天守4階以下の北側が鉄板張りでした。

この鉄板張りを復元しています。

「水野勝成と失われた設計図」の参加方法など

謎解きに製作協力した、福山駅前商店会の貝原大和さん

「水野勝成と失われた設計図」に参加するには、問題を入手しなければいけません。

問題は「水野勝成と失われた設計図」特製クリアファイルの中に入っています。

特製クリアファイルは以下の場所で販売していますので、購入してください。

問題入りクリアファイル販売箇所

  • 福山駅観光案内所
  • 福山駅前シネマモード (AREA INN FUSHIMICHO カフェラウンジ 入口横)
  • 福山城博物館管理事務所
  • コミュニティーハウス umbrella
  • 福山ニューキャッスルホテル
  • ふくやま美術館
  • ウエスギ 福山店
  • iPhoneお直し本舗
  • Freeman Coffee

問題入り特製クリアファイルは、1つ500円(消費税込)です。

なお購入金額は、福山城築城400年記念基金にあてられます

クリアーファイルを買ったら、さっそく袋から出してみましょう。

ファイルの中には問題用紙が入っているので、用紙を取り出してください。

用紙には地図と勝成ゆかりの場所と謎・ヒントスポットが描かれてあり、解答欄があります。

地図を見ながらスポットを順番にめぐっていき、スポットに置いてある問題を読み、解いていきましょう。

解いた答えは、用紙の解答欄に記入します。

すべての謎・ヒントスポットを回って解答欄を埋めると、最終の答えを導き出せるのです。

最終の答えは、用紙にあるQRコードをスマートフォン等で読み取って、出てきたページ(解答フォーム)の解答欄に記入して送信してください。

これで謎解きイベント終了です。

正解者のなかから、抽選で豪華賞品が当たります

なお1日で解答を終わらせなくても、イベント開催期間内であれば、いつスポットへ行って解答してもOKですし、最終の答えも期間内に送信すればOKです。

数回に分けてスポットをめぐっても問題ありません。

福山あいどるくらぶが「水野勝成と失われた設計図」に挑戦!

備後とことこの公式サポーターでもある、福山を中心に活動するアイドル歌手「福山あいどるくらぶ」のあゆさんが「水野勝成と失われた設計図」の謎解きに挑戦しました。

勝成ゆかりの場所と謎・ヒントスポットは、全部で9か所。

ゆかりの場所のすぐ近くには、謎・ヒントスポットがあり、問題が張り出されています。

それぞれのスポットで『信長の野望』に登場する、勝成ゆかりの戦国武将たちが問題を出しています。

なお問題の内容や、それぞれのスポットで謎を出す武将は誰なのかは、実際に謎解きに参加してからのお楽しみです。

第一ノ謎「舟入・二重櫓台跡」

最初のスポットは「舟入・二重櫓台跡(ふないり にじゅうやぐらだい あと)」です。

福山駅南口のバスロータリーの北側にあります。

ちょうどバス案内所の向かって左(西)側です。

バス案内所は、ヒントスポットになっています。

第二ノ謎「築切跡」

築切跡にある駐車場

つづいてのスポットは「築切跡(つっきり あと)」。

かつて福山城の堀から南東方面に、現在のショッピングセンター「ポートプラザ」あたりまで海とつながった「入川(いりかわ)」という運河がありました。

堀と入川を区切る境目の堰(せき)が、築切です。
今は埋められて築切の姿は見えません。

伏見町の福山駅前交番前から東に延びる道筋(福山駅前1号線)の途中あたり、今川茶舗の西側あたりに位置していました。

現在は駐車場になっています。

また入川は戦後に埋められて「北浜通り」に沿う市街地になりました。

なおヒントスポットは、Freeman Coffee(フリーマン・コーヒー)です。

第三ノ謎「本橋(天下橋)跡」

3つめのスポットは「本橋(天下橋)」です。

さきほど紹介した入川にかかっていた橋のひとつが本橋。
通称、天下橋と呼ばれていました。

入川は今は道路となっており、橋があったところには信号(船町北)・横断歩道が設置されています。

その横に、橋の欄干を思わせるモニュメントがありました。

交差点の南側にある麻生 船町店が、ヒントスポットです。

第四ノ謎「賢忠寺 水野勝成墓地」

4番目のスポットは、天下橋から少し西へ歩きます。

賢忠寺(けんちゅうじ)というお寺にある、水野勝成の墓地です。

賢忠寺の北側、JR山陽本線・山陽新幹線の高架の北にあります。

とても大きく立派な水野勝成の墓

水野勝成だけでなく、勝成をはじめとした水野家の墓地です。

墓地の中の案内板のところが、ヒントスポットになっています。

第五ノ謎「惣門跡」

5番目のスポットは「惣門跡(そうもん あと)」です。

惣門跡から南に続く、現在の胡町・大黒町・本通の各商店街は、かつて街道の山陽道(西国街道)でした。

惣門は福山城下のもっとも北側にあった、城下への入口となる門だったのです。
門の横には番所も置かれました。

ヒントスポットは、惣門跡の約150メートル南にある豆徳本店(徳永製菓)です。

第六ノ謎「御手洗川の上水道施設跡」

第6のスポットは「御手洗川(みたらいがわ)の上水道施設跡」です。

水野勝成は福山城を築城し、城下町を整備しました。

そのときに上下水道も整備しています。

あゆさんの立っている下に城下への取水口があった

城下の少し西を流れる芦田川から水を引き込み、上水道として城下を流れるようにしました。

上水道の施設の一部が現在も残っています。

ヒントスポットは、上水道施設跡の約150メートル南東にある小さなパン工場 大和屋です。

第七ノ謎「聡敏神社(福山八幡宮 境内)」

聡敏神社

7番目のスポットは「聡敏神社(そうびん じんじゃ)」です。

聡敏神社は水野勝成を祭る神社で、勝成が聡明で俊敏であったことから建てられました。

福山八幡宮 社殿

福山城下の北側に鎮座する福山八幡宮の境内に祭られています。

福山八幡宮の社殿の向かって左側に、聡敏神社が鎮座

ヒントスポットは、福山八幡宮の社務所です。

社務所は、神社の駐車場の入口のすぐ横側にあります。

第八ノ謎「西外堀跡(ふくやま美術館)」

8番目のスポットは「西外堀跡 (にし そとぼり あと)」です。

現在は堀の形跡はなく、案内板が立っているのみ。

謎スポットとなる説明板は、ふくやま美術館から福山城天守へ行く階段の前にあります。

ヒントスポットは、ふくやま美術館です。

第九ノ謎「物見櫓跡」

ファミリーマート福山北口店の約200メートル西にある石垣の遺構

最後のスポットは「物見櫓跡(ものみやぐら あと)」です。

東外堀にあった櫓で、藩主の屋敷や三之丸御屋形の見晴し台として利用されました。

現在は、石垣の一部分のみが残っています。

ちょうどファミリーマート福山北口店の周辺が、物見櫓があった場所です。

そのファミリーマートがヒントスポットになっています。

最終の答えを送信

9か所すべてのスポットを回り、謎を解きました。

用紙に解答を記入し、すべての解答から最終の答えを導き出します。

しかし、残念ながら最終の答えはわかりませんでした。

しかし期間内なら、再度スポットをめぐって改めて解答を考え、最終の答えを考えられます。

謎解きをしながら街を歩き、福山城についてわかる「水野勝成と失われた設計図」。

イベントを主催する「福山城築城400年記念事業実行委員会」の事務局は、福山市役所 経済環境局 文化観光振興部 文化振興課に置かれています。

福山市役所 文化振興課 築城400年事業推進担当課長・渡邉真悟(わたなべ しんご)さんに話を聞きました。

福山市役所文化振興課・渡邉 真悟さんにインタビュー

渡邉真悟 課長 (提供:福山市役所 文化振興課)

謎解きをしながら街を歩き、福山城についてわかるイベント「水野勝成と失われた設計図 ~謎を解き、福山城を完成させよ~」。

イベントを主催する「福山城築城400年記念事業実行委員会」の事務局は、福山市役所 経済環境局 文化観光振興部 文化振興課に置かれています。

福山市役所 文化振興課 築城400年事業推進担当課長・渡邉真悟(わたなべ しんご)さんに話を聞きました。

福山城の歴史がわかる、コロナ禍でも楽しめるイベントを

──謎解き街歩きイベントを開催した経緯を教えてほしい。

渡邉(敬称略)──

福山城の天守は駅のそばにあって「駅のホームから見えるのでよく知っているよ」という声はとても多いです。

しかし本来の福山城はもっと広く、堀などもあったのですが、今は遺構がほとんど残っていません。

ですから天守以外の城の概要について、知る機会があまりないのが現状です。

また、大きな城があったということは、周囲には城下町があり、栄えてきたという歴史もあります。
しかし戦災の影響や市街化などもあり、城下町としての歴史も知る機会は少ないです。

ですがよく調べてみると、昔の城や城下の歴史を知る遺構も残っているんですよ。

福山城や福山の街の歴史を知ってもらうにはどうすればいいかを考えた結果、謎解きしながら街歩きをするイベントにつながりました。

しかも、令和2年(2020年)からは新型コロナウイルス感染症の流行で、イベント開催も難しい状況です。

しかし街歩きのイベントだと、少人数で三密を避けつつ参加者の都合に合わせてできるので、コロナ禍でも楽しめるという点もポイントでした。

こうして令和2年にはじめて開催し、令和3年はさらに内容をブラッシュアップして開催しています。

福山城の歴史をふまえたやりがいのある謎解きを

──スポット探しや謎解き問題は、どのようにして考えたのか?

渡邉──

令和2年は、市役所の文化振興課でスポットを選別しました。

市役所の若手が中心に福山の魅力を広めようというプロジェクトがあり、その関係者が中心になって、選別したスポットをもとに謎を考えました。

令和3年は地元の歴史研究者と、東京のプロの謎解き問題クリエイターに依頼して、謎を考えています。

もっと福山の歴史に紐付いた、深い問題を考えたいと思いがあったからです。

結果、福山城や城下の歴史をふまえた非常にやりがいのある謎解きに仕上がったと思います。

──謎解き街歩きのイベントを計画していくうえで、大変だったことはある?

渡邉──

前回は、スポットに謎が書かれた紙を張り出していました。

しかし天候不良の影響ではがれたり、ボロボロになったりしたんです。

ですから今回は、可能な限りスポットのそばの施設・商店・企業さんにご協力いただきました。

一部を除き、施設・商店・企業さんの壁などに紙を掲示させてもらっています。

──参加者は、どんな人が多い?

渡邉──

地元の家族グループが多いですね。

子供さんが親御さんを連れて参加するのが多いです。

開催前に福山市内の小学校にチラシを配ったので、その効果もあると思います。

ほかにも親御さんがやりたくて、子供を連れて参加しているパターンも多いですね(笑)。

イベントを通じて福山城築城400年に関心をもってもらいたい

──謎解き街歩きイベントを通じて伝えたいメッセージがあれば、教えてほしい。

渡邉──

市役所では、福山駅周辺を楽しく歩いて回れる街にしようという目標があります。

謎解き街歩きのイベントは、まさに街を楽しく回れるイベント

街を歩きながら、今まで知らなかった歴史に触れたり、知らなかった店を知ったり、街のかたと交流ができます。

ぜひ謎解き街歩きイベントへ参加して、福山の魅力を知ってもらえればうれしいですね。

福山城は令和4年(2022年)8月28日で、築城400年を迎えます。

築城400年に向けて、天守の改修工事も進み、全国でもめずらしい鉄板張りを再現する予定です。

鉄板張りは天守の北側になるので、駅からは見えません。

駅から降りて天守の鉄板張り部分を観に来ていただけるお客様が増えることが、謎解き街歩きのイベントの狙いでもあります。

コロナ禍が落ち着けば、築城400年イベントが天守前広場で開催される予定です。

天守を目の前にしたイベントは迫力があります。
天守前に大きな広場があるのはめずらしく、イベントで訪れたアーティストや関係者のかたからも好評です。

街歩きのイベントを通じて、築城400年を迎えたリニューアル後の天守へ興味をもっていただき、ぜひ来場をしていただきたいですね。

福山の象徴・福山城の歴史を知りながら街歩きを楽しもう!

福山駅からすぐそばに天守が見える福山城。
ですので、福山と聞けば福山城をイメージするかたも多いと思います。

令和4年で築城400年を迎える福山城。

この機会に謎解きに挑戦しながら街を歩き、福山城の歴史に触れてみてはいかがでしょう。

普段だと通り過ぎていたところに、意外な歴史の足跡が残されているかもしれません。

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