「決めたい球が決まらない時は?」 プロ野球OB2人がファンと熱い“配球論バトル”

グループ観戦ミーティングに参加した黒羽根利規さん(左)と川井貴志さん【写真:(C)PLM】

川井貴志さんと黒羽根利規さんがファンとオンラインで試合を見ながらトーク

「パーソル パ・リーグTV」グループ観戦ミーティング2021の第3弾が9月8日に開催され、ロッテと楽天で投手として活躍し、現在は株式会社DELTAでコーディネーターを務める川井貴志さんと、DeNAと日本ハムで捕手として活躍し、現在ルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスでバッテリーコーチを務める黒羽根利規さんがファンとリモートで試合観戦を楽しんだ。

4月に行われた第1弾、6月に行われた第2弾に続き、この日も「パーソル パ・リーグTV」のプラットフォーム上にシスコシステムズ合同会社のWeb会議システム「Webex」を統合した「グループ観戦機能」を活用。川井さんと黒羽根さんは当選したファンが待機する各グループルームをイニングごとに訪問し、日本ハム対楽天のライブ配信を観戦した。

イベントのメインテーマは『つぎの1球はどうくる? プロ野球OBに挑め! 配球論バトル!』。配球論と聞くと身構えてしまいそうだが、現役引退後は楽天のチーム戦略室を経て、株式会社DELTAに所属する川井さんは「プロ野球の配球論という話ですが、配球当てクイズみたいな感じでやっていきたいです」と話す。黒羽根さんも「自分が持っている知識をしっかり伝わるように楽しくできればいいかな」と、2人がファンに寄り添うかたちでイベントが始まった。

学生時代の野球仲間同士が集まったグループでは川井さん、黒羽根さんとの深い配球論が展開された。試合序盤から楽天打線に苦戦する日本ハム・上沢直之投手の投球を見た参加者から「今日の上沢投手のように決めたい球(フォーク)が決まらないときはどう組み立てていましたか?」と質問。黒羽根さんは「捨て球としてフォーク投げさせて修正し、真っすぐも高めに構えて投げさせて少しずつ低めに修正していく」と捕手視点で回答。川井さんも「修正する場合は狙いどころを変えること。調子が悪い時はこれって球を決めて投げていた。ツーシームとか速い球で打たせて取ることを意識していました」と解説した。

2人が挑戦した配球予測はまさかの展開「まっすぐじゃないんか!?」

野球経験のない初心者に対しても、川井さんが「ツーシームはまっすぐの軌道で、だいたい右かな? ちょっと動いて小さな変化をします」と球種を丁寧に説明するなど、2人の明るく朗らかな話しぶりもあって参加者は気軽に「結果球はストレートだと思います」と配球予測に挑戦。その配球予測では投手交代後の初球を川井さん、黒羽根さんがそろって「まっすぐ」と豪語するも、その場面はまさかの変化球。予想が外れてしまった2人は思わず「まっすぐじゃないんか!?」と声を上げて場を和ませた。

ファミリーで参加したグループでは8歳の男の子が大人顔負けの配球分析を披露し、これには2人とも驚きの様子。さらに男の子から野球の練習や技術に関する熱心な質問も飛び出し、黒羽根さんは「壁に向かって投げる練習の時に目印を作って、そこに投げるようにするといいですよ」とコツを伝授するなど、さながらオンライン野球教室のよう。最後は2人から男の子へ「野球を好きになって、長く続けて」とエールが送られた。

日本ハムファンが参加するグループでは「注目の選手」が話題に。ファンが野村佑希内野手の魅力を語ると、黒羽根さんは「陰で努力するタイプの選手だから応援したくなる」と井口和朋投手を挙げる。一方、楽天OBの川井さんは「入団してきた時に見て、すごい球を投げていたから」と西口直人投手を推していた。黒羽根さんの熱心なファンが集まったグループでは、現役時代の思い出話を披露。2人はソフトバンク・工藤公康監督の自主トレ仲間だったそうで「練習メニューがきつかったよね」と笑いながら当時を振り返っていた。

配球論を中心とした野球談義で大いに盛り上がるなか、試合は楽天が8対0で日本ハムに大勝。約3時間半のイベントを終えた川井さんと黒羽根さんに感想を聞いた。

黒羽根さん「予測して試合を見るだけでも変わってくる」

――配球論がテーマのイベントはいかがでしたか?

川井さん「配球論というほど堅苦しくなく、ざっくばらんにいろいろと、この大事な一戦のお話ができたのでよかったと思います。楽しんでやれたので本当におもしろかったです。『配球論を聞きたい』と意気込んで参加してくれた方もいらっしゃいましたね。その方は野球をやっていたというのもあって『ここで、どういうことを考えているのかな?』という話なんかも出てきました。みなさん、いろんな目線で見ているんだなと感じ取れた。自分たちももっともっと勉強して、いろんなことを発信できたらなと感じました」

黒羽根さん「配球についてしっかり話ができたグループもあったのでよかったです。僕はこういう(インタラクティブな)オンラインイベントのお仕事が初めてだったので少し戸惑ったところもありましたけど、思った以上にファンの皆さんと喋れたので爪痕は残せたかなと思います。また次あるかな(笑)」

――配球論の初心者でも「配球」を楽しめる観戦方法はありますか?

黒羽根さん「まず普通に中継を見ているときに『次は何を投げる?』という風に予測して試合を見るだけでも全然変わってくると思います。そうすると傾向が出てきたり、クセが出てきたりというのがわかってきて、そこから発展させていけばいいのかな」

川井さん「今日お仕事をさせていただく上で(選手のデータを)下調べをしてきたんですけど、その人が何を投げるのか、変化球なのかストレートなのか、何キロくらいの球を投げるのかを考えていったら、いろいろなものが見えてきます。ピッチャーがどういう球を投げるのかを考えることがまず第一歩かなと思います」(「パ・リーグ インサイト」菊地綾子)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

© 株式会社Creative2