【秋場所】妙義龍 3敗死守で新横綱Vに「待った!」 千秋楽盛り上げるのは34歳のベテラン

大関正代戦にも勝利し、優勝に望みをつないだ妙義龍

〝ダークホース〟の勢いが止まらない。大相撲秋場所14日目(25日、東京・両国国技館)、幕内妙義龍(34=境川)が大関正代(29=時津風)を寄り切って3敗を守り、新横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)の優勝に「待った」をかけた。

立ち合いから鋭く踏み込んで左前みつを取ると、右もつかんで一気に前へ。大関の圧力を封じて、そのまま土俵外に退け「相手は大関なので、思いきって行くのは当たり前。大関と(対戦を)組んでくれたことに感謝してやりました」と充実の表情を見せた。

この日は平幕の遠藤(追手風)、阿武咲(阿武松)が4敗目を喫して優勝争いから脱落。結びの一番で照ノ富士が白星を挙げたことを踏まえると、仮に妙義龍が敗れていれば千秋楽を待たずに「新横綱V」が決まっていた。土俵下の高田川審判長(元関脇安芸乃島)は「最高の相撲。(正代と)どっちが大関か分からない」と34歳のベテランを絶賛した。

〝花のロクイチ組〟で荒磯親方(元横綱稀勢の里)、武隈親方(元大関豪栄道)らと同世代。かつては関脇で土俵に立ったが、2019年初場所の小結を最後に平幕が続いている。「(前頭)10枚目で下がなくなってきた。ずっと幕内にいるので、考える部分はある」と十両降格が頭をよぎることもあった。

それでも、今場所は2014年名古屋場所以来となる11勝を挙げるなど好調を維持して優勝を争う立場。「こうやって相撲が取れることに感謝して、当たり前じゃないと思って頑張ります」と力を込めた。

千秋楽は勝ち越しがかかる新関脇明生と対戦する。逆転Vにはまず白星を挙げ、照ノ富士が敗れた上で決定戦に勝つ必要がある。

「2番取ることを意識する? 明日のことは明日考えます。相手が誰であれ、今日みたいな相撲を取れればいいんじゃないか」

新大関を1差で追走する妙義龍。最後の最後で差すことができるか。

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