郷土史家の越中哲也さん死去 99歳 長崎学発展に貢献

長崎学発展に尽くした越中哲也さん=2019年12月、長崎市・光源寺

 長崎学の体系化や継承に長年貢献し、長崎くんちの解説などでも活躍した郷土史家の越中哲也(えっちゅう・てつや)氏が25日午前6時50分、老衰のため長崎市内の病院で死去した。99歳。通夜は26日午後6時、告別式は27日午後1時から、いずれも長崎市大橋町14の16、大橋メモリードホールで。喪主は妻の京子(きょうこ)さん。
 1921年、長崎市生まれ。旧制県立長崎中、龍谷大文学部卒。復員後に渡辺庫輔や林源吉ら郷土史家との出会いがあり、長崎の歴史文化の研究に取り組むようになった。
 55年に市職員となり、学芸員として市立博物館で勤務。74年から同館長。81年の定年退職後、83年に純心女子短大教授に就任。長崎史談会会長も務め、82年に設立された旧長崎歴史文化協会では2019年3月まで理事長を務めた。
 専門の美術・工芸のほか、食や風俗、キリシタン文化など幅広い分野の研究に取り組み、長崎学を体系的に発展させた。長崎くんちや精霊流しのテレビ中継、史跡巡りなどの解説でも活躍。「越中先生」と呼ばれて市民から親しまれ、長崎学の裾野を広げた。
 平和問題にも取り組み、「県九条の会」共同代表も務めた。
 1995年に長崎新聞文化章、97年に勲五等瑞宝章、2001年に龍谷賞を受けた。21年、長崎純心大名誉教授。

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