映画『リッちゃん、健ちゃんの夏。』笈川健太「カナブンが見つからない!」

10月1日公開の『リッちゃん、健ちゃんの夏。』。2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産に登録された「黒島の集落」を舞台に、女子中学生と国語教師の淡い恋のラブストーリーで、国語教師役を務めた笈川健太に見どころや、撮影秘話を聞いた。

--映画と役どころを教えてください

女子中学生のリッちゃんと、その中学校の先生・健ちゃん、その二人の長崎県佐世保市の黒島での夏休みを描いた映画です。僕は中学校の先生の健ちゃん役を演じさせていただきました。

--健ちゃんからの視点で見どころはどんなところ?

黒島の景色がまず美しいです。強いていうなら“黒島天主堂”ですね。そのシーンは是非見ていただきたいなと……昔からある教会なんですけど、実際に保存修理・耐震対策工事をしていたため、その工事中の現場で撮影出来たということが貴重ですね、歴史の1ページです。

--黒島の健ちゃんの家も昭和が漂う良い家でしたね!

玄関の外灯がレトロでしたね(笑)。築何年かわかりませんけど、相当経ってると思います……歴史ある良い家でした。平屋で大きくて、部屋もたくさんあるんです。家から見る眺めがすごく良いんですよ!坂の一番上にあって、海も山もみえました。

--撮影中の天候はどうでした?

それが本当に大変でしたね! 撮影は2019年の7月の中旬くらいに撮影したんですけど、本来はもう少し前に撮影予定だったんです。というのも日本にすごく大きい台風が来てて、島に行っての撮影が不可能ということになり延期になったんですが、いざ撮影になっても、ホントに天気が悪くて、たまに晴れるので急いで撮影したんです。今思うと、あのどんよりした雲や、早朝の濃霧は、台風が来てなければ撮れなかったですね。

--海に飛び込むシーンがありますが、その時は?

丁度良い暑さでしたね(笑) 飛び込んで“気持ち良い”って思える水温でした。撮影の合間にはスタッフさんも泳いでましたよ(笑)、というのも、実はリッちゃん役の武(イリヤ)ちゃんが泳げないので、そのフォローをするために助監督の方たちが海の中で待機していたんです。水は透き通っていてめちゃくちゃ綺麗でしたよ!

--武イリヤさんと共演してみて

すごく素直な方でした、何も飾らない、そのままの人柄だったので……リツコの役と似てるなぁと思いました。

--健ちゃんは一つ屋根の下でよく手を出さずに我慢できましたね(笑)

そうですね(笑) 中学校の先生であり、キリシタンでありという設定ですが、ガチガチのキリシタンだからということではなくて、普通に大人の男としての理性だったと思うんです。

--健ちゃんを実際に演じて、どんな感情だったのですか

他の生徒よりかは、やっぱりリツコを特別な目では見てましたけど、島まで来て「健ちゃん、健ちゃん」って言ってくれる生徒が他にはいなかったので……それは一緒に芝居をしてても嬉しかったですね。ちょっと人とのコミュニケーションが苦手な普通の27歳という設定でした……実は裏設定で健ちゃんには彼女が居るって話とかも、監督の大森(歩)さんと作ったりしてて(笑)。

--撮影秘話があれば教えてください

海に飛び込んでからのキスシーンがあるんですけど、リッちゃんを抱えた状態で立ち泳ぎを必死でしなきゃいけなかったんですが、それが出来なくて溺れかけました(笑)。

後ですね、僕は撮影の2日前から島に入って生活していたんですが、冒頭でカナブンが出てくるシーンがあるんですけど、スタッフの方たちがカナブンが見つからないと焦っていたんです(笑)!それで、島で民宿を経営されてるご主人に「カナブンを探しているんです」と事情を話し、カナブンが居るところを教えてもらってスタッフの方と獲りに行ったんです。ですが、Tシャツに短パンでビーチサンダル、さらに虫かごを下げた変な恰好で、しらないうちに毒蛇が出るエリアに入ってしまったんです。そうしたら地元の道路整備をしている方に「危ないから入るな!戻れ」と声をかけられて……撮影で来ている旨を話すと、なぜか「飲めるか?」と言われまして(笑)一緒に飲ませていただきました。

--お気に入りのシーンは?

渋谷の交差点です。武ちゃんの表情が本当に良くて……「うちん神様」ってセリフに全てが込められている気がして、大好きなシーンです。

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10月の頭から東京と名古屋から上映が始まります。夏の後に観るすごく気持ちの良い映画だと思うので是非劇場でご覧ください。

同じ大森歩監督の短編映画『春』(主演:古川琴音)との併映で、10月1日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか、名古屋の名演小劇場、愛知・刈谷日劇、長野・上田映劇、アップリンク京都ほかにて全国順次公開される。

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