鷹・工藤監督も「本当に頼りになる」と信頼 11試合連続無失点の24歳が担う重要な役割

お立ち台に上がったソフトバンク・松本裕樹【写真:藤浦一都】

日本ハム戦で2番手で登板し、2回無失点で3勝目を挙げた松本裕樹

■ソフトバンク 4ー1 日本ハム(26日・PayPayドーム)

26日に本拠地PayPayドームで行われた日本ハム戦に4-1で勝利したソフトバンク。2連勝で2カード連続勝ち越しを決めて勝率5割に復帰し、3位の楽天との差を1.5ゲームに詰めた。この試合で1点ビハインドの6回から登板し、2イニングを無失点に封じて逆転への道筋を作ったのが、2番手の松本裕樹投手だった。

この日の先発は笠谷。24歳の左腕が5回までわずか3安打、ソロ本塁打による1点のみに封じて試合を作り、その後を受けたのが同い年の松本だ。6回は1死から野村に安打を許したものの、アウト3つを全て三振で取り無失点。同点に追いついた直後の7回も四球で走者1人を出したものの、危なげなく抑えると、その裏にリチャードと今宮のソロ本塁打が飛び出した。

「比較的思ったボール、感じで投げられたかなと思います」と振り返った松本。先発が早いイニングで降板した際に出番が巡ってくるロングリリーフ要員として、この終盤戦に来ていい働きが続く。9月12日の日本ハム戦で2回を無失点に封じると、同15日のロッテ戦では2回をパーフェクトリリーフ。20日の楽天戦では3イニングを無失点に封じて、2勝目をマーク。この日も勝利投手となり2連勝となった。

7月9日のオリックス戦での失点を最後に11試合連続無失点中

五輪前の7月9日オリックス戦で3失点を喫して以降、11試合連続無失点。中断期間からフォームの修正に取り組み「しっかり踏み込んで、左足を着いてから投げることを意識して今やっているところです。中断期間中はしっかり軸足で押そう、勢いをつけようとやっていた。中断期間明けて2試合くらいは(軸足の右足)ばっかり意識して(左足)がつけていなかった」と、安定に繋がっている。

先発投手と7回以降の勝ちパターンの投手に繋ぐ位置。「先発投手が早い回で降りたりした時にどうやって後ろの人に繋いでいくかが大事なので。間は空けてもらっているので、しっかり投げて貢献していかないといけないと思っています」。目立たないポジションではあるが、ここ最近のチームの好調ぶりに対する松本の貢献は大きい。

その重要性は工藤公康監督の言葉からも伺える。この日の投球を「ロングを投げられる松本が繋いでくれたのがリズムに繋がった」と称えると「2イニング、3イニングと長いイニングでも投げてくれているし、いい調整をしてくれているのがこういう投球に繋がったと思う。今、本当に頼りになる中継ぎロングです」と信頼感を口にしている。

工藤監督も認める重要度「その存在は投手陣において非常に大きい」

ここからの最終盤においても重要な“武器”となりそうだ。今シーズンも残り22試合。逆転優勝に向けて負けられない戦いは続く。今後は千賀、マルティネスといった先発陣は中5日での登板が増えていくことが想定される。リリーフ陣も特に岩嵜、モイネロ、森はこの3連戦のように、時に3連投をしなければならない時もある。その状況で、松本の存在感が光る。

「間隔短く投げないといけない投手もいる中で、全力でどこまでいけるか。その中で松本くんが1人いて、2イニング任せられるとなると、7、8、9回に繋げられる。また彼ら(勝利の方程式の3人)の連投が続いているとなれば、最後、松本くんで長いイニングというのも投げられる。その存在は投手陣において非常に大きい」。指揮官もそう語る。

「いい投球をした後は、それができなくなる不安が常にありながら投げているような感じ。伸びていくことはいいですけど、相手チームが意識することも増えてくる。対策を練る可能性も増えてくる。そういった中でどう抑えていくかは考えていかないといけない」と今後の課題も口にしていた松本。先発と勝利の方程式を繋ぐ“黒子”ながら、今のソフトバンクにとって不可欠な存在となっている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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