“ミサイル発射、二重基準と決別を” 金与正副部長が語ったこと 北南の公正性と相互尊重のための課題

南当局が正しい選択を実践行動で証明すれば、悪化した北南関係を回復させる機会が生まれるかもしれない。

朝鮮労働党中央委員会の金与正副部長は25日に発表した談話で「公正性と互いに対する尊重の姿勢が維持されてこそ、はじめて北南間の円滑な疎通がなされるであろうし、ひいては意義ある終戦が時期を逸せずに宣言されるだけでなく、北南共同連絡事務所の再設置、北南首脳対面のような関係改善の諸問題も建設的な議論を経て早いうちに一つ一つ有意義に、見事に解決することができると思う」と述べた。

“自主権に対する無視であり挑戦”

北南間の疎通が行われるための前提条件として言及された「公正性と互いに対する尊重の姿勢」で特に注目されたのは、朝鮮の自衛権レベルの行動を「脅威」、「挑発」と罵倒し、自分たちの軍備増強は「対北抑止力確保」であると美化する「米国式、南式の対朝鮮二重基準」と決別することができるかということだ。

金与正副部長は、これらの二重基準は「朝鮮民主主義人民共和国の自主権に対する露骨な無視であり挑戦」と断定し、南当局が北南関係の回復を望むならば、「一言を発してもすべてを熟考し、正しい選択をすべきである」と強調した。

実際、この問題に関しては北側が「不適切」と見なす南側の「失言」が繰り返されてきた。

今年3月、朝鮮の新型戦術誘導弾発射に対して、文在寅大統領は「国民に懸念」を抱かせ「対話の雰囲気に悪影響を与える」と述べた。当時、金与正副部長は「我々の自衛権を国連決議違反、国際社会に対する『脅威』だとして言いがかりをつける米国の強盗のような主張を引きも足しもせず真似したようなもの」、「米国産オウムと『賞賛』されても怒りは感じないだろう」と皮肉交じりに非難した。

9月には、文在寅大統領が南のミサイル発射実験を参観して「我々のミサイル戦力は北の『挑発』を抑止するのに十分だ」と述べた。金与正副部長は、大統領が「挑発」という言葉を使うことに対し「非常に強い遺憾」を示し、「我々は誰かを狙い、ある時期を選んで『挑発』しているのではなく、党大会決定貫徹のための国防科学発展および兵器システム開発5カ年計画の初年度重点課題を遂行する通常の自衛的活動を行っているに過ぎない」と明言した。この5カ年計画は、南の「国防中期計画」と何ら変わらないという説明も付け加えた。

 “米国を模倣すべきではない”

 金与正副部長は「公正と互いに対する尊重の姿勢」を強調した今回の談話で「南朝鮮は米国を模倣すべきではなく、このような非論理的かつ幼稚な主張を振りかざして朝鮮半島地域における軍事バランスを破壊しようとしてはならない」と忠告した。今後は「米国産オウム」のように振舞うなということだ。

3年前、北南首脳(金正恩総書記・文在寅大統領)が手を取り合って共同宣言を発表したにも関わらず、北南関係が望まぬ曲折を経て危機的状態に陥ったのは、南当局が米国の「先核放棄」の主張を代弁しながら、結果的に米国の朝鮮敵視政策に追従する姿勢を続けたからだ。

今年1月に開かれた朝鮮労働党第8回大会で北南関係の原則的立場と「南朝鮮当局の態度次第で北南関係が再び3年前の春のように平和と繁栄の新たな出発点に戻ることができる」との見解が示されて以来、局面転換の機会が与えられてきた。

ところが、南当局はこれを無視した。3月には「北への侵攻」を想定した米国との合同軍事演習を強行し、「暖かな3月」ではなく「戦争の3月」「危機の3月」を選択した。7月27日、首脳合意に基づき、すべての北南通信連絡線を再稼働させる措置が講じられたが、8月に合同軍事演習を再度強行し、関係回復のためのチャンネルを自ら閉ざした。

今回の談話で金与正副部長は、北南関係回復の可能性に関する言及が「あくまでも個人的な見解」であることを明らかにした。その上で「これから追い風が吹くか、爆風が吹き荒れるか予断はしない」と述べた。

選択は、南当局が行うことだ。1月の労働党大会でも表明されたように、「対価は努力しただけ、支払った分だけ受け取るようになっている」(金正恩総書記の報告)というのが、選択の機会を提供する側の立場だ。

© 株式会社朝鮮新報社