妻が選挙に出ることになりまして。(いおく美里・奈良県議ブログ)

奈良県議会議員のいおく美里氏(立憲民主党)が自身のブログで26日、選挙に出馬する際の事務所開きについて夫目線から紹介する「夫エッセー」を更新しました。慣れないことばかりの選挙戦、妻が選挙に出馬することになった夫の役割とは?

ブログ全文は以下の通り。

夫エッセー 妻が総選挙に出馬します

○玉串(たまぐし)を奉納する…?

多くの読者にとっては何のことやら、だろう。神事や政治に詳しいかただと「靖国神社などに政治家が奉納して中国と揉めるやつ?」と
思われるかもしれない。そう、それくらい縁遠いものだ。私もみたことない。
そんな玉串の奉納を行うことになったのは、パラリンピック閉会式ー2021年9月5日のことである。

会場は、次期奈良2区の衆議院議員選挙に向けた事務所びらき。
私の妻(奈良県会議員)が総選挙へ出馬を準備していることに伴い、格式のある神社から神主をお招きしての神事を取り計らうことになった。
夫である私は、妻の隣で神事ー玉串奉納をご一緒することになったのである。
神事は10時からだが、我々は9時に事務所到着。夏だろうと当然上着とネクタイ、白いワイシャツ着用。

妻(候補予定者)を助手席に乗せて、事務所に到着するなり、椅子などのセッティングに奔走するスタッフさんたちを手伝う。
その合間に妻が聞く「玉串ってやったことあるん?」

ないがな。と答えると、恥をかかないための親切なユーチューブ動画を見せてくれた。
なるほど玉串とは、白い紙をくくりつけた神々しい枝葉のことか。
神主から玉串を受け取る作法や、その後180度回転させて枝のほうから神棚に捧げるなど興味深くみいる。
そして2礼2拍一礼しておしまいね。それほど複雑なわけではないが、やったことないだけに、気になるものだ。

○神事が始まる前が肝心 神主たちが手際よく五穀豊穣を祈り、芋や酒が捧げられた神棚を作り上げていく。

 

それを横目に、次々と訪れる来賓をお迎えする妻(候補予定者)の隣に控えるのも夫の仕事。連合奈良の会長やら立憲民主党○○支部など普段付き合いのないお偉いさんたちが現れ、私は促されて名刺を出したり頭を下げたり。
お国がえをして総支部長になった妻は、人間関係が濃いだけに周囲へ非常に気を遣っている。

これまで妻は独身で選挙をやってきたので、隣に夫がいるのは初めてだ。
夫婦で臨む選挙は、支援をお願いする夫が隣にいるという構図が大事とされている。
多くは夫が候補者で、その隣に専業主婦の妻が連れ添って頭を下げるのだろうから、うちのケースはユニークだろう。
私が主役ではないため、枕詞は「いおく美里の夫です。妻が大変お世話になっております。。」

この辺りの温度がまだ慣れない。通常は自分自身が候補者であり、公の場所においても自らの判断で動ける。
だが今は主役の隣にいる立場だけにどこまで控えめにすべきか、ときに逡巡するわけだ。
候補予定者(妻)が気づかない点をサポートして候補者の総合力を高めることが、夫の仕事。多少さしでがましくても、スタッフが言いにくことも言わねばならない。エリザベス女王の夫(フィリップ殿下)やメルケル首相の夫がどんな工夫をしていたか。ぜひ読んでみたいが女性元首や女性リーダーを支えた夫たちによる類書がすくない。「君について行こう(宇宙飛行士向井千秋さんの夫による著書)」くらいかな。

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○10時。神事がはじまった。 妻に続いて「夫、多摩市会議員遠藤ちひろ様」という呼び出しに立ち上がり、そうとしらずに玉串の奉納を終える。

 

あとは座っていれば小一時間の神事が無事に終わった。終盤、主役である妻(候補予定者)の挨拶スピーチをぼんやり聞いている最中(自分が喋らなくても良い。こういうのは楽だ)、ふっと気付いた。挨拶が終わり、妻がお辞儀するタイミングで俺も立ち上がってアタマ下げなきゃならんな!
出陣式などでは、議員の隣でよく奥さんが一緒に頭下げてるもんな。気付いてよかった。 最後はこれまた一緒に、出口で参列者をお見送り。

みんなこの総選挙を勝ち抜くために集まった。

お見送りの場でも妻に声をかけこそすれ、俺をみている人はいない。それでも彼女の隣に一緒に並んで頭を下げ、妻をよろしくお願いします!と内助の功に徹し、頭を下げ続ける日曜日。慣れない候補予定者の夫、という立場でこれから報告をあげてみたいと思う。

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