金正恩「警護部隊」指揮官を処刑…「秘密保持」目的か

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9月24日は、北朝鮮の金正恩総書記を直接警護する護衛司令部の創立記念日だった。デイリーNKの内部情報筋によると、奇しくもその日、同司令部隷下にあった重要部門「55処」の指揮官が、金正恩総書記の指示により公開処刑されたという。

いったい何が起きたのか。

55処は、平壌・万寿台(マンスデ)にある金日成・金正日の巨大銅像の直下から、同市大城(テソン)区域の革命烈士陵まで延びる地下トンネルを管理する部署だ。北朝鮮で「史蹟坑道」と呼ばれるこの地下トンネルには、戦争勃発などの非常事態となった際、巨大銅像を収納・保管する自動化システムが構築されているという。

われわれの感覚からすると非常にムダな仕組みに思えるが、北朝鮮においてはきわめて重要な装置と言える。

これを管理する55処に今年1月、戦時用の照明や発電機、燃料が新たに供給された。続いて2月、指揮官の李某処長は上層部から、トンネル内部を全面的に点検・補修せよとの指令を受け、これを実行した。

それから4カ月が過ぎた6月中旬、護衛司令部付の保衛部(秘密警察)が、55処のオフィスを急襲。李処長を逮捕し、直属の営倉管理部に拘束した。それから10日間、保衛部は李処長に逮捕容疑すら教えず、拷問を加えたという。

そして逮捕から11日目となった日、中佐の階級章を付けた予審員が李処長に言ったのは、「上層部は坑道の点検をしろと命じたのであって、戦時用燃料を浪費せよと言ったのではない!」ということだった。

これに対して李処長は、「わが55処も、以前は優先供給されていた電力が、最近は途絶えがちになり、点検のために仕方なく燃料を使った」と釈明したが、当局がまったく受け入れなかった。その後も拷問が続き、遂に今月24日、李処長は戦時用燃料管理規定の未順守、史蹟坑道の機密漏洩などの容疑で有罪とされ、護衛司令部37旅団の射撃場で公開処刑されたという。

その後、55処は完全に解体され、まったく新しい部署として再編された。

こうした事態を受け、一部の高位幹部らは、「史蹟坑道は近く、新たなシステムとルートに全面的に再設計され、人員も入れ替えられる計画だった。交代させられる55処の処長は、それが誰であれ、いずれ死ぬしかなかった」として、坑道の秘密保持が事件の背景にあるとの認識を示したという。

だがその一方、ほかの幹部らの間では、「貧農の家庭から実力で這い上がった李処長は、上官におもねることを知らず、犬のように死んだ」として、ワイロのやり取りなど処世術の欠如が彼の死を早めたとの見解も語られたという。