【コラム・天風録】ガッツポーズあれこれ

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 勝利のポーズが最も様になったアスリートと言えば、陸上のウサイン・ボルト選手であろう。空に向かって弓を引く姿を何度見たことか。そして現役ならさしずめ、大リーグの大谷翔平選手では▲走者としてホームに際どく滑り込み、大の字に寝転んだまま拳を突き上げる。7月、サヨナラ勝ちを決めた姿に日米のファンは大喜び。きのうはマウンドでの決めポーズを期待したが、力投むなしく10勝目はお預けに▲だが、ガッツポーズは時にひんしゅくを買う。きのう引退のニュースが駆け巡った横綱白鵬関がそうだった。7月の名古屋場所千秋楽。強烈なかち上げと張り手の連発で照ノ富士関を破り、全勝対決を制する。その途端、鬼の形相で右腕を振り、雄たけびを上げた▲これが横綱の品格に欠けた振る舞いだとさんざん批判を浴び、結局は最後の取組に。既にその頃から、手術した右膝が言うことを聞かなくなり、とことん自分を鼓舞し続けなければ土俵に上がれなくなっていたようだ▲あのガッツポーズは「まだまだ自分もやれる」との意思表示だろう。同時に、後進の強さを認め、「白鵬1強時代」の終幕を自ら予感した瞬間だったに違いないと、今にして思う。