コロナ禍で増加か 60歳以上の通販トラブルの相談件数、過去最高に

新型コロナウイルスの拡大のために家で過ごす人が多くなったためか「通信販売」、いわゆる「通販」を巡るトラブルが増えています。特に2020年度、全国の消費生活センターに寄せられた「60歳以上の通販トラブルの相談件数」が過去最高になっています。

年代別に相談件数を見ていると、通販のほか、店舗での購入の相談に訪問販売、電話勧誘販売などの相談がある中、60歳未満と60代では「通販」の相談件数が半数以上となっていて、どの年代も通販の割合が一番高くなっています。このことからも通販を利用している人が多いとことが分かります。

次に60歳以上の通販の相談件数を見てみると、2016年度から2019年度までは相談件数が10万件以下で推移していましたが、2020年度は11万件近くまで増えています。80歳以上でも1万5000件以上の相談が来ています。

具体的には、定期購入となっているダイエットサプリメントの解約手続きがうまくできないというものがありました。契約する前にサイト内の購入条件や返品・交換・解約のルールや解約方法についてきちんと確認してから申し込むようにしましょう。

また「海外から注文した覚えのないマスクが届いた」というものもあります。届いた"覚えのない商品”を勝手に処分していいのでしょうか。実は、特定商取引法の改正で2021年7月6日以降に注文や契約をしていないにもかかわらず一方的に送り付けられた商品は直ちに処分することが可能となりました。金銭を支払う義務もないので、支払いを請求されても応じないでください。

高齢者1人ではなかなか解決が難しいこともあります。そうしたときには消費生活センターにすぐに相談すること、そして普段から身近にいる家族が見守りを行って変化にいち早く気付くことがとても重要です。国民生活センターも高齢者の消費者トラブルを防ぐためのチェックリストをホームページに掲載しています。通販のトラブルだけに限りませんが「不審な電話のやりとりがないかどうか」「家に見慣れないものや未使用のものが増えていないか」「見積書・契約書など不審な書類や名刺などがないか」「カレンダーに見慣れない事業者名などの書き込みはないか」など、そして本人の様子について「定期的にお金をどこかに支払っている形跡はないか」「生活費が不足したり、お金に困っていたりする様子はないか」など、チェックリストを活用しましょう。身近な人が変化に気付くことが大切です。身近な人がこういったチェックリストを元に見守りを行い、トラブルを未然に防いでください。

通販を利用する人は多いと思います。今回紹介した事例は高齢者だけに起きるものではなく、誰にあってもおかしくありません。不安があったら1人で抱え込まず、すぐに相談してトラブルに遭わないように気を付けたいものです。

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