外務省が被爆者らと意見交換 「核の先制不使用」米政策に疑問示す

外務省の海部軍縮不拡散・科学部長らとオンラインで意見交換する川崎氏(右上)ら

 被爆者団体や非政府組織(NGO)でつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」は27日、外務省の海部篤軍縮不拡散・科学部長らとオンラインで意見交換した。外務省側は、バイデン米政権が検討している「核の先制不使用」政策について、疑問を投げかける姿勢を示した。
 意見交換は一部非公開。終了後、記者会見した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲国際運営委員は、核の先制不使用政策について、外務省側が「全ての国が合意して検証可能な形でなければ意味がない」と述べたと説明。川崎氏は「政策の意義にかなり疑問を投げかける姿勢だった」と指摘した。
 先制不使用は、2016年にオバマ米政権が検討したが、米国の「核の傘」に依存する日豪など同盟国が反対し断念した。
 また外務省側は、3月に開かれる見通しの核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加も「慎重に見極めなければならない」と消極的な姿勢を示した。
 参加した日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳代表委員は「今までの方針と変わらず落胆した。核保有国と非保有国の橋渡しをするなら、意見を聞く場として参加してほしい」と求めた。

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