東京五輪のIOC財政負担は? 武藤氏「開催都市契約に従って議論していくのが前提」

武藤敏郎氏

東京五輪・パラリンピック組織委員会は28日、都内で理事会を開催し、東京大会の総括などが報告された。

今大会は新型コロナウイルス禍による前代未聞の1年延期。これによって経費は当初の予定から大幅に膨らみ、最終的に約1兆6440億円となった。一方、無観客開催によって約900億円のチケット収入も消滅。そのため財政問題は今後の大きな課題となるが、武藤敏郎事務総長は「皆さんもご関心が高いと思いますが、財政収支をどのように埋めるかというのは、別途整理して改めて理事会に相談したい。今回の論点整理の中には入っていない」と話した。

とはいえ、財政問題は東京都の予算にも絡むため、場合によっては12月中旬~下旬の理事会、もしくは臨時理事会を開催する可能性もあるという。

一方、コロナ禍という事情を鑑み、国際オリンピック委員会(IOC)に財政負担を求めるべきとの意見もある。これについて武藤氏は「ご承知の通りIOC負担金としてかなりの金額を出していただいております。IOCは自分の務めを果たしていると理解しています。このような非常に特殊な状況になった中で、どう考えるかは今までに前例のない話。いろんな意見があると思います」と話した上で、「仮に財政収支が赤字になったときの負担がどうなるのか?となると、開催都市契約にはちゃんと書かれているわけです。ですから、基本はそれに従って議論していくのが前提になると私は考えています」との見解を示した。

開催都市契約に基づくと、当然ながら負担は日本にのしかかる。しかし、昨年末には延期で生じたスポンサー企業の追加料について、IOCは開催都市契約に記された7・5%のロイヤルティーを放棄する異例の決断を下した。果たして大会後の財政問題はどうなるか。

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