【高校発みやざきSDGs】ー30ー高鍋(上) 課題解決向け具体策

フィールドワーク報告会でプレゼンテーションする生徒たち。例年、日南、小林高との3校連携事業として実施している

 本校の探究科学科は「問い、試し、考え」「答えのない問いに向き合う」を掲げ、探究心の育成を目指している。1年次履修の「探究1」では「持続可能な社会への探究」を大テーマに設定し、フィールドワーク演習1(FW演習)として「街づくり学習」を実施する。3~4人のグループに分かれ「コンパクトシティ」と言われる高鍋町内を2日間探索する内容である。これまで生徒自身が町の課題を発見し、解決に向け、さまざまな具体策を提案してきた。
 例えば「高齢者がいきいきと安心して生活できるには」がテーマの班は、独り暮らしのお年寄りに対して、日常生活での不安について聴き取りを重ね、「健康維持に必要な運動方法」を提案した。防災に着目した班は、町外、さらには外国人にも分かるよう改訂したハザードマップを作成した。このようにFW演習は生徒が足を運び、町の「今」を見聞きし、課題に向き合う貴重な時間である。
 昨年度、非常に見通しが悪く、入り組んだ町内の道路に着目した生徒たちが「交通事故の発生状況はどうか」という視点で学習を始め、高鍋署に聴き取りを行い、交通事故の発生状況を調査した。全国・県内と比較し、交通事故の多発地帯を2カ所に絞り「事故を減らすために何ができるか」と試行錯誤を重ね、安全マップを作成した。その過程で地域の中学校や交番、役場の方々の協力・助言を受け、生徒たち自身の「住みよい町」に対する考えが、少しずつ輪郭を持ち始めることができた。
(指導教諭・三浦章子)

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