【新型コロナ】宣言解除「ようやく出発点」 神奈川の飲食店、感染再拡大懸念も

シャッターを下ろし、営業時間の短縮と酒類提供の終日停止を伝える飲食店。通りに人影もまばらだ=横浜市中区(画像は一部修整しています)

 新型コロナウイルスを巡る緊急事態宣言が10月1日、神奈川県内で2カ月ぶりに解除される。とりわけ影響が大きかった飲食店では酒類提供の停止が解除され、安堵(あんど)の声が上がる一方、感染再拡大への懸念は根強い。売り上げ低迷が続く百貨店も警戒を緩めておらず、関係者は一様に早期のコロナ禍収束を望んでいる。

 横浜・関内地区の居酒屋「バンバン番長」はプロ野球・横浜DeNAベイスターズのファンが集う人気店だが、酒類提供停止の影響で客足が遠のき、売り上げはピーク時の6~7割に落ち込む。店長の飛田和晃さん(50)は「午後8時までの条件付きであっても(酒類提供の)停止解除はありがたい」と歓迎する。

 一方で昨春の宣言初発令以降、提供停止と解除が繰り返されてきただけに先行きへの懸念は払拭(ふっしょく)できない。感染が再び拡大し、急な提供停止に見舞われれば食材の発注や予約客への対応で振り回されることになる。「そもそも客が戻ってきてくれるだろうか」と不安は尽きず、「ベイファンが店に集い、心置きなく楽しめる日が待ち遠しい」と語る。

 「今年に入ってまともに営業ができていなかった。ようやく出発点に立てた気持ち」と話すのは、同地区の飲食店従業員の男性(42)だ。「以前のように普通に仕事がしたい」と望むが、感染拡大が忘年会シーズンを直撃した昨年末を思い起こし、「二の舞にならないか一抹の不安は残る。完全な収束まで安心できない」と気をもむ。

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